病院の警備委託契約を見直す方法|仕様書・配置・人件費・品質管理のポイント
病院の警備業務というと、「受付に立っている人」という印象を持つ方も多いかもしれない。
しかし実際には、不審者対応や夜間巡回だけでなく、夜間受付、救急外来受付、忘れ物・落とし物対応、タクシー手配、検体搬送など、病院運営を支える幅広い業務を担っている。
だからこそ、人件費の上昇だけを理由に単純な価格交渉を行うことは難しい。重要なのは、価格ではなく仕様書と配置体制を見直すことである。
ブレイクダウンした見積書で経年変化を把握する
警備業務委託契約も、他の委託契約と同様にブレイクダウンした見積書を提出してもらいたい。
例えば、
- 人工数
- 一人当たり単価
- 管理費
- 夜勤手当
- 教育費
などを明確にすることで、翌年度以降の価格変動や体制変更を比較しやすくなる。
一人当たり単価については、
- 地域の最低賃金
- 近隣病院の募集単価
- 国土交通省「建築保全業務労務単価」
などを参考に、市場水準と比較しながら妥当性を判断したい。
人員配置と時間帯は適切か
警備委託費は、人員配置によって大きく左右される。
例えば、
- 24時間365日の常駐が本当に必要か
- 夜間警備は機械警備で代替できないか
- 外来終了後は巡回のみで対応できないか
など、病院機能に応じた見直しを検討したい。
時間帯ごとの業務量を把握し、人員配置を最適化することが重要である。
DX導入後も配置は見直されているか
近年では、
- 防犯カメラ
- AI画像解析
- 機械警備
- 遠隔監視システム
などの導入が進んでいる。
システムを導入したにもかかわらず、人員配置が以前と変わらないままでは、DXの効果は十分に発揮されない。
他の委託契約と同様に、業務改善に合わせて配置人数も見直したい。
制服や備品の負担区分も確認する
制服や備品などの費用についても、
- 制服
- PHS
- 消耗品
- その他備品
などを病院と委託会社のどちらが負担するのか整理しておくことが重要である。
こうした細かな費用負担の積み重ねも、契約全体のコストに影響する。
夜間受付や救急外来受付は工数に大きく影響する
病院によっては、警備員が夜間受付や救急外来受付を兼務している。
これらの業務は工数への影響が大きく、人件費を左右する要因となる。
警備業務と受付業務の役割を整理し、本当に必要な業務範囲を明確にしておきたい。
仕様書は昔のままになっていないか
警備業務では、警察OBを直接雇用している病院も少なくない。
その後、
- 直接雇用から委託へ
- 委託から直接雇用へ
切り替える際、以前の仕様書がそのまま引き継がれているケースも見受けられる。
現在の病院運営に合った内容になっているか、一度確認してみたい。
本来業務以外が増えていないか
警備員は本来の警備業務だけでなく、
- 忘れ物・落とし物対応
- タクシー手配
- 検体搬送
などを担っていることも多い。
こうした業務が仕様書に明記されているのか、それとも長年の慣習で追加されてきたものなのかを整理することも重要である。
病院は警備会社に何を期待するのか
最後に最も重要なのは、病院として警備会社に何を期待するのかを明確にすることである。
安心・安全を守ることを主な役割と考えるのか。
あるいは、患者案内や接遇まで含めて病院の「顔」としての役割を期待するのか。
この考え方は病院によって大きく異なる。
期待する役割が曖昧なままでは、委託会社との認識にもずれが生じやすく、品質評価や価格交渉も難しくなる。
仕様書の中で期待する役割を明確にすることが、結果として適切な品質管理と価格交渉につながる。
警備委託契約は、単に「警備員を配置する契約」ではない。
病院が求めるサービス水準を仕様書で明確にし、それに応じた人員配置や価格を検討することが、これからの契約管理には欠かせないだろう。
「警備業務は『何も起こらないこと』が評価される数少ない委託契約である。だからこそ、期待する役割を仕様書で明確にし、価格だけでなく品質も含めて評価する視点が重要になる。」
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