病院の設備委託契約を見直す方法|エレベーター保守・点検回数・人件費の削減ポイント
病院の設備委託契約は、専門性が高いため事務部門だけでは交渉しにくい領域である。しかし、委託費の中身を分解してみると、見直しによるコスト改善余地は決して小さくない。
設備委託契約は「価格交渉」を行う契約ではなく、「仕様や運用を見直す契約」であるという視点が重要だ。
① エレベーター保守は設備委託から切り離して考える
設備委託費の中でも大きな割合を占めるのが、定期点検費用とエレベーター保守費用である。
エレベーター保守については、フルメンテナンス契約かPOG契約か、またメーカー系保守会社から独立系保守会社へ切り替えることで、年間数百万円規模の削減効果が得られるケースもある。
そのため、設備委託契約の一部としてではなく、病院が直接契約する形を採用する施設も少なくない。
また、委託会社経由で契約している場合には、実際にどの保守会社が担当しているのか病院側が把握していないケースもある。契約の透明性という意味でも、一度確認しておきたいポイントである。
② 法定点検と任意点検を区別する
設備点検には、法令で義務付けられているものと、任意で実施しているものがある。
「以前から実施している」という理由だけで継続されている点検も少なくない。
また、「2年に1回」「3年に1回」といった長期スパンの点検もあるため、設備更新計画と合わせて中長期の点検スケジュールを整理しておくことが重要である。
不要な重複点検を防ぐだけでも、コスト削減につながる。
③ 委託会社を集約するとスケールメリットが生まれる
設備、警備、清掃などをそれぞれ別会社へ委託すると、人員配置や管理面で非効率となる場合がある。
受託範囲の広い会社であれば、人員を柔軟に配置しやすく、効率的な運営が期待できる。
また、グループ病院では近隣施設で同一委託会社を採用することで、
- スケールメリットによる価格交渉力の向上
- 人員配置の最適化
- 委託会社側の採用計画の安定
といったメリットも得られる。
④ ブレイクダウン見積で価格の根拠を明確にする
設備委託契約でも、人件費、管理費、人工、一人当たり単価などをブレイクダウンした見積書を提出してもらうことが重要である。
内訳が明確であれば、翌年以降の価格変動や人員構成の変化も追跡しやすくなる。
また、一人当たり単価については、
- 過去契約との比較
- 地域の最低賃金上昇率
- 国土交通省「建築保全業務労務単価」などの公表資料
を参考にすると、値上げの妥当性を客観的に判断しやすい。
⑤ DX導入後も委託費は見直されているか
設備管理の分野でも、遠隔監視システムやDXの導入が進んでいる。
重要なのは、新しいシステムを導入した後に、委託費や人員配置が従来どおりになっていないかを確認することである。
DXの効果は、業務効率化だけではなく、委託コストを逓減できて初めて十分に発揮される。
さらに、修繕費と保守費の切り分け、制服やPHSなどの甲乙負担の見直しも、契約全体の最適化につながる。
設備委託契約は専門性が高いからこそ、価格だけではなく仕様・運用・契約形態を総合的に見直すことが重要である。定期的な点検と契約内容の棚卸しが、病院経営改善への大きな一歩となる。

