病院の感染性廃棄物コスト削減|委託契約・分別ルール・回収頻度の見直しポイント
病院の委託契約のなかでも、契約締結後に継続的なモニタリングが必要となる代表例が、感染性廃棄物を含む廃棄物委託契約だ。
医療機関では、診療材料やSPD契約の見直しには力を入れていても、廃棄物委託契約については「長年同じ業者に任せきり」というケースも少なくない。
しかし実際には、廃棄物委託費用は、病院側の運用次第で大きく増減する。
廃棄物委託費用は「量」だけで決まらない
感染性廃棄物の費用というと、単純に「排出量」で決まると思われがちだ。
しかし実際には、
- 回収頻度
- ごみ庫の広さ
- 回収動線
- 処分場の状況
- 地域の収集効率
など、さまざまな要因で価格が変わる。
例えば、病院のごみ庫が狭い場合、廃棄物を長く保管できないため、回収回数を増やさざるを得ない。
回収回数が増えれば、その分だけトラックの運行費や人件費が発生し、委託費用は高くなる。
一方で、
- ごみ庫に余裕がある
- 近隣病院も同一業者へ委託している
- 回収ルート効率が良い
といった条件が揃うと、価格交渉が有利になることもある。
処分場の状況でも価格は変わる
見落とされがちだが、契約先の処分場の状況も価格形成に大きく影響する。
感染性廃棄物はマニフェスト管理が必要であり、最終処分場や中間処理施設の余力によって価格が変動する。
例えば、
- 新設で余裕のある処分場
- 受入能力に余裕がある施設
であれば、比較的リーズナブルな価格提示となることがある。
一方で、
- 処分能力が逼迫している
- 満杯に近い
- 地域的に処分場が少ない
といった状況では、価格が高止まりしやすい。
つまり、感染性廃棄物の価格は、単なる「病院内の問題」ではなく、市場環境の影響も強く受けるということだ。
“なんでも感染性廃棄物化”がコストを押し上げる
病院によっては、分別ルールの曖昧さによって、本来感染性廃棄物ではないものまで感染性として処理されているケースがある。
代表例としては、
- 汚れていないおむつ
- 未使用のおむつ
- 未汚染のガーゼ
- 未汚染の手袋
などだ。
特にコロナ禍以降、「迷ったら感染性へ」という運用が広がり、感染性廃棄物量が増加した病院も少なくない。
病棟現場では、
「判断が難しいから安全側に倒す」
という運用が起こりやすい。
しかし、この積み重ねが年間では大きなコスト差になる。
感染性廃棄物は一般廃棄物より処理費用が高額であり、“なんでも感染性化”は、病院経営上の大きなロスになり得る。
「箱単位契約」と「重量単位契約」の違いにも注意
感染性廃棄物契約では、
- ペール・箱単位契約
- 重量(kg)単位契約
の2種類がある。
箱単位契約の場合、まだ満タンでない状態でも回収に出してしまうケースが発生しやすい。
特に病棟では、
「溢れる前に交換したい」
という運用になりやすく、結果としてコスト増につながる。
もちろん、感染対策上、満杯状態を放置することは望ましくない。
ただし、運用次第では“空気を運んでいる”状態になっている病院もある。
一方、重量単位契約は合理的に見えるが、
- 計量管理が曖昧
- 業者任せ
- 計量記録が不透明
といった問題が起こるケースもある。
実際に、病院職員が毎回計量に立ち会う運用となり、かえって業務負担が増えた事例もあった。
契約方式ごとのメリット・デメリットを理解し、自院の運用に合った契約設計が必要だ。
委託契約は“契約したら終わり”ではない
感染性廃棄物委託契約に限らず、委託業務は、
「仕様書どおりに運用されているか」
を継続的に確認する必要がある。
病院によっては、仕様書の中に、
- 定期点検
- セルフモニタリング
- 改善提案
- 排出量分析
などを盛り込み、業者側にも定期報告を求めているケースがある。
重要なのは、イニシャルコストだけでなく、ランニング費用に異常が起きていないかを点検する仕組みだ。
リサイクル素材ペールという選択肢も
細かな点ではあるが、感染性廃棄物のペールにも見直し余地がある。
通常は白色などのバイオハザードマーク入りペールが多いが、一部ではリサイクル素材を活用した低コストペールを導入する病院もある。
ただし、
- 黒色で血液付着が見えにくい
- 感染対策上の懸念
- 現場職員の抵抗感
などの理由から、導入が進んでいないケースもある。
価格だけでなく、感染対策や現場運用とのバランスも重要だ。
廃棄物委託契約は“見直し余地の大きい契約”
感染性廃棄物の委託契約は、一見すると「どの病院でも同じ」に見える。
しかし実際には、
- 分別ルール
- 回収頻度
- ごみ庫運用
- 契約単位
- 計量方法
- 業者モニタリング
など、多くの改善余地がある。
長年見直していない病院ほど、慣習的な運用でコストが膨らんでいる可能性もある。
感染対策を維持しながら適正化を図る――。
その視点で、一度点検してみてはいかがだろうか。

