病院の太陽光発電は本当に儲かるのか?PPA・自己所有・リース方式の違いと契約時のチェックポイント
近年、病院の屋上や駐車場に太陽光パネルを設置する施設が増えている。
全国で何病院が導入しているかという公的な統計は見当たらないが、日本医師会の調査では、再生可能エネルギーを導入している病院の約9割が太陽光発電を採用しており、病院における再生可能エネルギーの中心となっている。
特に地方病院では、広い屋上や駐車場を活用できることから導入が進みやすい。
一方で、
「本当に儲かるのか」
「工事中は診療に影響しないのか」
「工事費は病院負担なのか」
「契約で注意すべき点は何か」
など、経営者や事務担当者が気になる点も多い。
今回は病院における太陽光発電導入の代表的な3つのスキームと、契約時の留意点を整理したい。
病院の太陽光発電には3つの方式がある
① PPA方式(現在最も普及している方式)
現在、最も多く採用されているのがPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)方式である。
この方式では、
・太陽光パネルの設置費用
・設備の維持管理費
・保守費用
をPPA事業者が負担する。
病院は屋上や駐車場を提供し、発電した電気を通常より安価な単価で購入する仕組みである。
初期投資が不要なことから、導入しやすい方式として広がっている。
② 自己所有方式
病院が設備を購入し、自ら所有する方式である。
初期投資は大きくなるが、発電した電気はすべて病院で利用できる。
長期的には最も経済効果が高くなる可能性がある一方、故障時の修繕や設備更新も病院の責任となる。
③ リース方式
設備はリース会社が所有し、病院は毎月リース料を支払う方式である。
初期費用を抑えられる反面、契約終了時の条件や途中解約の条件について確認が必要である。
太陽光発電は本当に儲かるのか
一昔前は、発電した電気を売電することで利益を得ることが主流だった。
しかし現在は、売電よりも「自家消費」が中心となっている。
病院は、
・MRI
・CT
・手術室
・検査機器
・空調設備
など、昼間に大量の電力を消費する。
そのため、自ら発電した電気をそのまま院内で使用することで、購入する電力量を減らし、電気料金を削減する効果が期待できる。
「売って儲ける」よりも、「買う電気を減らす」ことが現在の主なメリットと言える。
工事費用は誰が負担するのか
PPA方式では、通常、設備設置費用は事業者負担となる。
ただし、
・屋上防水工事
・建物補強
・老朽化した屋根の改修
などは病院負担となる場合もある。
自己所有方式では、当然ながら設備費用は病院負担となる。
導入前には、建物の構造計算や耐荷重の確認も必要となる。
工事期間と診療への影響
病院規模にもよるが、工事期間は概ね1〜3か月程度となることが多い。
工事の多くは屋上で行われるため、通常診療への影響は比較的小さい。
一方で、
・クレーン作業
・資材搬入
・一時的な停電を伴う電気工事
などは発生する可能性があるため、休日や夜間工事を含めた施工計画の確認が重要である。
古い病院ほど慎重な判断が必要
太陽光発電は10〜20年以上使用する設備である。
そのため、
・建替え予定
・病床削減予定
・屋上防水更新予定
・耐震改修予定
などがある病院では慎重な検討が必要となる。
契約期間中に建替えが発生すると、撤去費用や違約金が発生する可能性もある。
契約時に必ず確認したいポイント
太陽光発電設備は一度契約すると10年以上継続するケースが多い。
価格だけでなく契約内容の確認が重要である。
特に確認したい項目は次のとおりである。
・契約期間(15〜20年が一般的)
・途中解約時の違約金
・契約終了後の設備の所有権
・設備撤去費用は誰が負担するのか
・設備故障時の修理責任
・台風や火災など自然災害時の保険
・発電量保証の有無
・屋上防水工事との責任分担
・屋上使用料や賃料の考え方
・停電時の非常用電源として利用できるか
契約書には細かな条件が記載されているため、十分な確認が必要である。
主な太陽光PPA事業者
病院への導入実績を持つ、または公共施設へのPPAを積極的に展開している事業者には次のような企業がある。
・NTTアノードエナジー
・東京ガス
・関西電力
・中部電力ミライズ
・Looop
・しろくま電力
・アイ・グリッド・ソリューションズ
地域によって対応可能な事業者は異なるため、複数社から提案を受けることを勧めたい。
BCP(事業継続計画)も踏まえての導入
非常電源とは別に、自院で発電できる供給源を持っておくことは、BCP(事業継続計画)の観点からも重要となる。
採算性のみならず、その評価も含めて導入検討する必要がある。
また、補助金なども付きやすい分野であり、活用ができないか確認をしたい。
補助金があれば、自己所有方式を採択し、経済的なメリットを多く享受できるかもしれない。
屋上は病院に残された遊休資産かもしれない
病院では、委託契約や医薬品価格の見直しに注目が集まりやすい。
しかし、屋上という遊休資産を有効活用することで、電気料金削減や災害対策、さらには病院経営の安定化につながる可能性がある。
太陽光発電は単なる設備投資ではなく、10年以上続く契約でもある。
だからこそ、価格だけでなく契約内容まで十分に確認した上で導入を検討したい。
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