給食提供の課題
人件費高騰や食材費の高騰、輸送費の高騰は給食委託業者との契約にも直結する。多くの病院で悩みを抱えている指折りの事項ではないか。まして昨今のコメの値上げ率は凄まじく、過去最大の値上げ幅と言われている。
病院は、多くの施設が食事提供について委託会社と契約しており、当然委託費も値上げの打診を受けることになる。過去のように、委託会社同士が競争環境が働く状況ならばよいが、特に地方では調理師の確保も難しく、委託業者自体の数も限られている。昨今は値上げをしなければ、委託会社が撤退を申し出ると言うこともしばしば起こっている。この状況では、病院は、食材費が適正な値上げであるかの検証と、病院側と委託側の業務分担見直しによる仕様の変更ぐらいしかできることはない。
兼ねてより、必要人員数を抑えるために期待されているのがクックチルとニュークックチルのスキームだ。
チルド状態の食品を再加熱してから、器にひとつずつ盛り付けを行う方式がクックチル方式で、一方のニュークックチル方式は、食品をチルド状態で盛り付け、器ごと再加熱を行う。再加熱後に盛り付けを行う必要がなく、前倒しでの食事準備が可能となる。ただし、ニュークックチル方式の実現には再加熱カートなどの初期投資が必要となる。
朝食の提供のため、早出として深夜3時や4時の出勤となっている病院もある。
クックチル方式やニュークックチル方式でうまく運用できれば、調理師の数や朝食時間帯の数などを減らすことができる。
委託会社によるセントラルキッチンのニュークックチル方式というのもある。
と言ってもなかなか簡単ではないようで、いろいろな前提をキレイにして導入しなければ、うまくいかないようだ。
同時に提供時間や提供方法の見直し、治療食の数の見直しなども必要とのこと。朝食の人員が減らせても、昼食夕食の一手間加えるようなスキームは結局人員が減らないということも起きているそう。
治療食も多い病院では30も40も種類があると聞く。平均在院日数は短縮しているが、献立サイクルは長かったりする。配茶の方法もさまざまだ。最終的には外部で調理されたものを温めるだけといった、いわゆる完調品の導入がゴールとなると思われる。
一度運営体制を見直す必要もあると考えている。その上で完調品の導入が一つのカードとなるかもしれない。
セントラルキッチンを法人グループで行っているところもあるようで理想的ではあるが、施設の位置関係やリスク管理、投資など乗り越える課題は大きい。
完調品の導入にも、委託契約では直営化して採用するということになり、一歩を踏み出すにはハードルがある。なかなかその一歩が踏み出すことができていない。全国どこでも悩む課題だが、引き続き取り組んでいる。