便乗値上げにNo!
病院のP/Lに乗る費用項目全てに値上げがあり、経営を圧迫する。医薬品らの材料費、委託費、機器や保守の設備関係費など枚挙に暇がない。理由は物価高騰、資材高騰、輸送費の高騰、人件費の増加や、ウクライナ侵攻による影響やコロナウイルス感染拡大というのもまだ存在する。
毎日のように業者からの値上げの話はあるが、医療機関へ公定価格であるからもちろん値上げは自費を除いてできない。値上げは医療機関の収益の持ち出しを意味するし、国は補正予算はさておき、ほぼ診療報酬などでの物価高騰に対する補填を行っていない。
値上げ内容をきちんと確認することが必要だと考えている。せっかく今まで交渉してベンチマーク上、安価であったものもここぞとばかりに値上げとなったり、根拠があいまいなままの値上げがあったりということがある。また、ないとは思うが便乗値上げ、すらある可能性がある。中には15〜20%も提示されることがあるが、その原材料の統計を見ても実際そこまでの費用は上がっていないこともわかる。下記はその一例。
・消費者物価指数(東京都) ➕4%
総務省統計局
・輸送費 ➕5%(2020年比)
日本銀行企業向けサービス価格指数
・東京都最低賃金 ➕4% (2023年比)
厚生労働省
・建築費 +11%(2020年比)
建設工事費デフレーター(国土交通省)
・プラスチック原材料費 +16%(2019年比)
日本銀行企業企業物価指数
・米の価格 +65%(2024年比)
日本銀行 企業物価指数
値上げの種類ごとにこういった統計資料と照らし合わせれば、法外な値上げとなっていないか検証できることとなる。例えば、給食委託費などは一か月の請求額や、食材費と管理費という1項目ないしは2項目のざっくりとした見積もり提示がよくされがちだが、内訳も確認するべきだと考えている。あまり厳しく交渉すると委託業者に撤退されるような時代だが、内訳提示を求め適正価格で契約することはなんら問題ない。
あとは新価格の適用時期の問題もある。
経験上、メーカー社内で値上げの時期も交渉できるようで、値上げについて相談すると時期を遅らせることもよくある。いの一番に値上げをする会社とだいぶ適用が遅れる会社でかなりのタイムラグがあるようなので、これも相談する対象になると考えで良いだろう。
本来は費やさなくても良いような労力と、病院側とメーカー側も感じるようなやるせなさがあるが、今の医療機関の経営で費用が膨れ上がった結果が今の状況だ。
客観的な数値に基づいたきちんとした精査が必要だと考えている。
動向的には、一旦値上げを飲んで全体的に交渉しようとする病院と都度都度交渉している病院があるようである。
ただ一旦飲んでしまうと後で必ず漏れなく交渉ができなければならないし、値上げをして運営できる根拠にも取られてしまうのでリスクはある。正解はないのかもしれないが、結果的に便乗値上げとなっている提示であることはありえる。
本当に資材の高騰や輸送費の高騰分だけの値上げなのか。曖昧な値上げを寛容する余裕も医療機関にはないはずである。