病院の看護補助者委託契約を見直す方法|仕様書・配置・様式9・交渉ポイントを解説
医療従事者の人材確保が年々難しくなる中、特に採用に苦労している職種が言語聴覚士と看護補助者ではないだろうか。
看護補助者については、病院が直接採用するほか、採用フェアや知人紹介、看護学校との連携、復職支援などさまざまな確保策がある。しかし、人材不足を背景に、委託会社へ業務を委ねる病院も増えている。
委託事業者も、医療事務系企業、人材派遣会社、看護補助専門会社などさまざまであり、清掃や給食委託のように限られた大手企業が市場を占める業界ではない。また、近年は外国人材を活用する病院も増え、委託費は人件費の上昇とともに年々増加傾向にある。
だからこそ、価格交渉だけではなく、仕様書を整備し、業務内容を継続的にモニタリングすることが重要になる。
まず整理したい「看護補助者の業務範囲」
看護補助者の業務は病院によって大きく異なる。
例えば、
- 配膳・下膳
- ベッドメイキングやシーツ交換
- 物品補充や環境整備
といった軽作業から、
- 患者搬送
- 車椅子介助
- 検査誘導
など患者と接する業務、
さらに、
- 食事介助
- 排泄介助
- 清潔ケア
など身体介助まで担当する病院もある。
事務作業の一部まで担っているケースも少なくない。
急性期看護補助体制加算などの施設基準では、看護補助者の業務内容を病院として規程化し、看護師・看護補助者双方への研修を実施することが求められている。
この規程は定期的な見直しが必要であり、適時調査でも確認される事項である。
委託契約でも同様に、「看護補助者に何を委託するのか」を仕様書で明確にしておくことが重要だ。
様式9は「実績」だけでなく「予定」が重要
看護補助者配置を考えるうえで、意外と見落とされがちなのが様式9の予定表である。
多くの病院では実績様式9は作成しているが、予定様式9を十分活用できていないケースも少なくない。
シフト作成段階で予定様式9を確認することで、
- 看護補助者の不足・過剰
- 看護師配置の充足状況
- 看護師を看護補助者として「みなし」配置できる余力
などを事前に把握できる。
さらに、
- 新卒採用
- 退職者
- 病床稼働率
- 患者数
などと合わせて年間推移を分析すれば、必要人数の予測精度も高まる。
単月ではなく年間を通したデータ分析が重要である。
看護補助者の申し送りは本当に必要か
病院によっては、看護補助者も申し送りに参加している。
もちろん必要な情報共有は重要である。
しかし、
「全員が毎回参加する必要があるのか」
「業務内容に応じた情報共有になっているのか」
は一度検証してみたい。
例えば1人15分の申し送りでも、人数が多ければ年間では相当な労務時間となる。
現場の安全を維持しながら、効率的な運営方法を考えることも必要だ。
配茶方法も業務改善の対象
看護補助者の業務の中でも、意外に時間を要するのが配茶業務である。
病院によっては、
- 食事と一緒に配茶する
- 配茶を別時間に行う
- ウォーターサーバーを設置する
- 売店や自動販売機を活用する
など、さまざまな運用が行われている。
病棟特性や患者層を考慮しながら、栄養部門とも連携して最適な方法を検討したい。
見積書は必ずブレイクダウンしてもらう
交渉方法は医事委託契約などと共通する部分が多い。
まず重要なのは、見積書をブレイクダウンして提出してもらうことである。
例えば、
- 人工数
- 一人当たり単価
- 管理費
- 教育費
- 配置人数
などを明確にしてもらわなければ、適切な交渉はできない。
また、翌年度以降も同じ条件で比較できるよう、見積内容を記録として残しておくことが重要である。
募集時給と委託単価を比較する
委託会社名と病院名で検索すると、自院の求人情報が掲載されていることがある。
募集時給を確認し、委託会社が提示する人工単価と比較することで、管理費や利益率がおおよそ把握できる。
もちろん、
- 社会保険料
- 教育費
- 管理費
なども考慮する必要はあるが、乖離が極端に大きい場合は見直しの余地がある。
また、
- 地域の最低賃金
- 近隣病院の募集時給
- 人材市場の状況
も参考にしたい。
こうした情報は、看護部だけでは把握しづらく、事務部門が主体的に収集することが望ましい。
委託業務もKPIで管理する
委託契約では、「配置して終わり」ではなく、成果を継続的に評価することが重要である。
例えば、
- 欠員率
- 離職率
- 充足率
- 病棟満足度
などをKPIとして管理すれば、委託業務の質を客観的に把握しやすくなる。
看護部と事務部門が連携して契約を見直す
看護補助者委託契約は、人手不足を理由に毎年更新されがちな契約である。
しかし、仕様書を見直し、配置状況や様式9、KPIなどを分析することで、適正な配置や委託費の見直しにつながる可能性がある。
看護部だけでは契約交渉は難しい。
一方で、事務部門だけでは現場の業務実態を把握できない。
だからこそ、看護部と事務部門が連携し、仕様書・配置・業務内容を定期的に見直していくことが、これからの看護補助者委託契約には欠かせないだろう。
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