病院から消えたもの、消えゆくもの|理容室・公衆電話・FAXから考える病院DXの未来
病院の中から、いつの間にか姿を消したものがある。
かつて病院内には郵便局があり、公衆電話があり、理容室があった。
しかし時代の変化とともに、それらの姿を見る機会は少なくなった。
最近、理容大手のQBハウスが介護施設や医療機関向けの訪問理美容サービスに力を入れていることを知った。
病院内理容室の代わりに、訪問理美容という形へ変化しているのである。
病院内理容室はなぜ減ったのか
かつての病院、とくに療養病院、結核病院、精神科病院では理容室を併設している施設も少なくなかった。
長期入院患者にとって、散髪は生活の一部だったからだ。
しかし現在は状況が大きく異なる。
平均在院日数は短縮され、急性期病院では入院中に散髪が必要となるケース自体が減った。
一方で、
- 療養病院
- 精神科病院
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
などでは依然として需要がある。
そのため、常設の理容室ではなく、訪問理美容という形が主流になりつつある。
訪問理美容の担い手は意外と多様
訪問理美容というと大手企業をイメージするかもしれない。
しかし実際には、
- 地域密着型事業者
- 個人事業主
- NPO法人
- 理美容団体
などが多く参入している。
大手企業のシェアは必ずしも高くないようだ。
一方で、ウィッグ事業などで知られる アデランス が展開する病院内ヘアサロン「こもれび」のような常設型店舗も存在する。
ただし、病院内理美容サービス全体の店舗数やシェアを示す統計は少なく、実態は見えにくい市場でもある。
病院内テナントのあり方も変わった
訪問理美容では、病院の会議室や空きスペースを活用し、養生を行ったうえで施術を実施するケースが多い。
病院によっては利用料や売上歩率を設定しているが、明確なルールがないまま運用されていることもあるだろう。
理容室に限らず、病院内テナントのあり方そのものが変化している。
かつて病院内にあった郵便局はATMへ変わり、公衆電話は携帯電話に置き換わった。
病院が担う機能の変化に合わせて、必要とされるサービスも変わっているのである。
すでに消えた医療機器や設備
病院内から消えたのはテナントだけではない。
例えば、
- レントゲンフィルム
- シャーカステン
- 紙カルテ搬送システム
などは、多くの病院で姿を消した。
PACSや電子カルテの普及によって、当たり前だった設備が不要になったのである。
また、
- 病院玄関の施設基準掲示
- 紙の案内表示
も、デジタルサイネージへ置き換わりつつある。
次に消えるものは何か
今後も病院の機能は変化していくだろう。
例えば、
- 紙の問診票
- FAX
- 電話交換業務
- 一部の受付業務
などは、今後大きく姿を変える可能性がある。
紙の問診票はタブレット化が進み、電話交換業務はAI電話やチャットボットとのハイブリッド運用が広がるかもしれない。
受付も空港のチェックインカウンターのように、自動化が進む可能性がある。
もちろん、すべてがなくなるわけではない。
しかし、人が担う業務とシステムが担う業務の境界線は確実に変化している。
契約情報を整理することの重要性
病院は労働集約型であり、同時に多くのサービスやモノが集まる産業でもある。
長年運用していると、
「昔はあったが今はない」
というサービスが少なくない。
だからこそ、
- どのような契約があるのか
- どのような業務が残るのか
- 他院ではどう運用しているのか
を定期的に確認する必要がある。
病院から消えたものを振り返ることは、単なる懐古ではない。
これから病院に残るもの、残すべきものを考えるヒントになるのではないだろうか。
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