病院のコスト削減策|見落とされがちな「規程見直し」で固定費を削減する方法
病院のコスト削減というと、医薬品や診療材料、委託費の見直しをイメージすることが多い。
もちろん、それらは病院経営において非常に重要なテーマだ。しかし実際には、「規程の見直し」によって静かに膨らんでいた固定費を削減できるケースも少なくない。
特に30病院規模の病院グループのように職員数や施設数が多い法人では、1つひとつの規程差が年間数百万円〜数千万円単位の差につながることもある。
また、規程は一度作成すると長年見直されないことが多く、
• 昔の水準のまま運用されている
• 誰も相場比較をしていない
• 実態に合わなくなっている
• 病院ごとにバラつきがある
といったケースが珍しくない。
今回は、病院で見落とされがちな「規程見直しによるコスト削減」について整理したい。
① 旅費規程の見直し
病院で最も見直し効果が出やすい規程の1つが旅費規程だ。
特に医師や看護部、リハビリ、薬剤部などで学会参加や出張が多い病院では、旅費関連費用が年間で大きな金額になっている。
見直しポイント
宿泊費上限
例えば、
• 東京一律15,000円
• 実費精算
• 繁忙期ルールなし
となっているケースもある。
これを、
• 地域別上限設定
• 早割利用推奨
• 法人契約ホテル活用
• 繁忙期のみ例外許可
などへ変更することで、費用削減につながる。
日当制度
古い規程では、
• 出張日当3,000円
• 半日出張でも支給
• 近距離でも支給
といったケースも残っている。
近年は、
• 実費中心へ変更
• 一定距離以上のみ支給
• 管理職限定
などへ見直す病院も増えている。
グリーン車・タクシー利用
ルールが曖昧だとコストが膨らみやすい。
例えば、
• 部長職以上は自由
• 領収書があれば可
• 終電後の基準不明
など。
そのため、
• 利用条件明確化
• 所属長承認制
• 時間帯制限
などが重要となる。
② 慶弔規程の見直し
慶弔規程は「職員への配慮」という側面が強いため、長年見直されずに残っていることが多い。
しかし職員数が多い法人ほど、累積影響は大きい。
見直しポイント
結婚祝い金
例えば、
• 一律5万円支給
を、
• 勤続年数連動
• 3万円へ調整
するケースもある。
香典・弔慰金
親族範囲が曖昧だと対象が広がりやすい。
• 同居親族
• 祖父母
• 配偶者父母
などの定義整理も必要だ。
特別休暇
実は人件費への影響が大きい。
• 忌引休暇
• 結婚休暇
などについて、地域相場との比較を行う病院も増えている。
③ 車両規程・通勤規程の見直し
郊外型病院では通勤関連コストが大きい。
見直しポイント
通勤手当
• ガソリン単価が古い
• 距離区分が甘い
• 公共交通優先ルールなし
などは見直し余地がある。
駐車場補助
• 全職種無料
• 医師のみ優遇
• 民間駐車場全額補助
なども病院ごとの差が大きい。
④ 携帯・PHS・通信機器規程の見直し
病院では院内PHS文化が根強く残っている。
しかし、
• 個人持ち台数増加
• 更新年数不明確
• 紛失ルール未整備
などがコスト増加につながっている。
近年は、
• スマホ統合
• SIM契約見直し
• MDM導入
• BYOD整理
などを進める病院も増えている。
⑤ 被服・ユニフォーム規程の見直し
地味だが効果が出やすい。
見直しポイント
• 貸与枚数
• 退職時未返却
• クリーニング頻度
• 職種別ルール
など。
病院グループでは標準化による削減効果が出やすい分野だ。
⑥ 福利厚生規程の見直し
見直し難易度は高いが、固定費削減インパクトは大きい。
例えば、
• 食事補助
• 職員旅行
• 永年勤続表彰
• レジャー補助
など。
特に「利用率が低い制度」は整理余地がある。
⑦ 決裁・購買規程の見直し
これは直接的にコスト削減へつながる。
相見積ルール
例えば、
• ○万円以上は2社見積
• ○万円以上は3社見積
などの基準統一。
随意契約条件
随意契約が多いと価格高止まりにつながりやすい。
特に、
• 「昔から同じ業者」
• 「自動更新」
には注意が必要だ。
契約更新ルール
例えば、
• 3年ごと競争見積実施
• 契約満了前レビュー
などをルール化する病院も増えている。
「規程」は固定費の温床になりやすい
病院では、日々の診療運営に追われる中で、規程そのものを見直す機会が少ない。
しかし実際には、
• 「昔のまま」
• 「慣例」
• 「前例踏襲」
によって固定費が積み上がっているケースも多い。
特に病院グループでは、施設ごとの差を横比較するだけでも大きな改善余地が見つかることがある。
コスト削減というと購買や価格交渉に目が向きやすいが、「ルールそのもの」を見直すことも、病院経営改善の重要なテーマの1つと言えるだろう。

