病院の滅菌委託で失敗しないために|中央材料室(CSSD)委託仕様書の重要チェックポイント
病院の滅菌委託は「価格」だけで決めると危険
近年、病院では中央材料室(CSSD)の人材確保が難しくなっている。
特に、
• 手術室増設
• 手術件数増加
• 派遣人材の定着難
• 夜間・緊急手術対応
• インプラント管理増加
などにより、滅菌業務の負荷は年々高まっている。
その結果、中央材料室業務を外部委託する病院も増えているが、実際には「委託したのに現場が楽にならない」というケースも少なくない。
原因の多くは、委託費そのものではなく、“仕様書”にある。
滅菌委託は、単純な人材派遣ではない。
仕様書の作り方次第で、
• 手術室看護師の負担
• 夜間残業
• 緊急手術対応
• 手術開始遅延
• 器械トラブル
に大きな差が出る。
今回は、病院の滅菌委託を検討する際に、仕様書で注意すべきポイントを整理したい。
「人工数」だけで比較すると失敗する
滅菌委託では、
• 9人工
• 8人工
• 5.5人工
など、“人工数”が注目されやすい。
しかし実際には、人工数だけでは比較できない。
病院ごとに、
• 手術件数
• 手術室数
• 夜間緊急件数
• 診療科構成
• インプラント使用量
• 洗浄装置能力
• SPD動線
• 手術器械セット数
がまったく異なるからだ。
「他院は5.5人工だから、うちも減らせるはず」という考え方は危険である。
重要なのは、
どこまでを委託範囲とするのか
である。
仕様書で最も重要なのは「責任範囲」
滅菌委託で最も揉めやすいのは、
“誰がやるのか曖昧な業務”
である。
例えば、
• 夜間緊急手術の対応
• 緊急滅菌
• インプラント受け取り
• 貸出器械管理
• 修理伝票管理
• 追加洗浄
• 夜間組立
• 土曜午後対応
などは、仕様書で曖昧になりやすい。
委託会社側は、
「通常業務は対応」
「ただし緊急時は除く」
という整理をしていることも多い。
結果として、契約後に、
• 手術室看護師
• 外回り看護師
• 夜勤看護師
へ業務が逆流するケースが発生する。
これでは、委託した意味がなくなる。
夜間・緊急対応は必ず確認
滅菌委託で特に重要なのが、20時以降の対応である。
例えば、
• 夜間緊急手術
• 緊急帝王切開
• 整形外傷
• 脳外科緊急
• AC滅菌
が発生した場合、
• 誰が洗浄するのか
• 誰が組立するのか
• どこまでを委託範囲とするのか
を明確にしておかなければならない。
仕様書に書かれていないと、最終的に看護師対応となることが多い。
インプラント管理は想像以上に負荷が高い
整形外科や脳外科の多い病院では、インプラント管理の負荷が非常に大きい。
具体的には、
• 業者対応
• 貸出器械確認
• 検品
• 返却
• 修理管理
• 伝票管理
• 緊急追加対応
などである。
これらは単純な洗浄・滅菌作業とは異なり、経験や知識も必要となる。
仕様書では、
• どこまで委託するのか
• 誰が最終確認するのか
を明確化したい。
「平均業務量」ではなく「ピーク」で考える
滅菌業務は、平均件数ではなくピーク対応能力で決まる。
特に、
• 月曜日
• 連休明け
• 整形フル稼働日
• 長時間オペ集中日
は負荷が急増する。
そのため、見積精査では、
• 最大手術件数日
• 最大コンテナ数
• 最終洗浄時間
• 20時超え実績
• AC滅菌回数
などを確認したい。
平均値だけで人工設定をすると、繁忙日に崩壊する。
安価な委託で起きやすい問題
価格だけで委託会社を選ぶと、
• 器械組立ミス
• セット不足
• 洗浄漏れ
• 滅菌期限管理ミス
• 教育不足
• 高離職率
などが発生しやすい。
特に問題なのが、
現場責任者の質
である。
同じ8人工でも、
• リーダー経験
• 手術室理解
• 教育体制
で品質は大きく変わる。
仕様書に盛り込みたい項目
滅菌委託の仕様書では、最低限以下を整理したい。
業務範囲
• 洗浄
• 組立
• 滅菌
• 搬送
• ピッキング
• インプラント管理
• 貸出器械対応
時間範囲
• 平日
• 土曜
• 夜間
• 緊急時
品質管理
• KPI
• インシデント報告
• 再洗浄率
• 組立不良率
人員体制
• 責任者配置
• 欠員時応援
• 教育体制
• 離職時対応
追加費用
• 緊急対応
• 土曜追加
• 長時間オペ
• 年末年始
滅菌委託は「病院機能」に直結する
中央材料室は、病院の裏方に見える。
しかし実際には、
• 手術
• 外来
• 病棟
• 救急
すべてを支える重要部門である。
滅菌委託は単なるコスト削減ではなく、
「病院機能を止めないための仕組みづくり」
として考える必要がある。
価格だけでなく、
• 現場負荷
• 夜間対応
• 緊急時
• 看護師業務
• 品質管理
まで含めて仕様書を作ることが重要である。

