病院のガバナンス
病院の本部と現場
病院は、単体の病院で成り立っているイメージがあるが、実はグループの法人だったり、市町村の管理下だったり、医療法人のグループだったりする。そこには本部と各施設という、いわゆる本社(本部)現場の関係が存在する。
全体の方針を定め、本部として各病院に実行に移してもらうことは、会社の性質にもよるが、とても難しい。その遡及力やガバナンス力は会社によっても違うが、病院の成り立ちによるものも大きい。
ルートインホテルズ。全国400弱ほどのホテルを運営し今もなお増える。どこも同じような作りでクオリティとなっているのはすごい。おそらく、都市を変えて連泊すると、その日にどこのルートインに泊まっているか分からなくなることだろう。このような成り立ちであれば病院もガバナンスは強まりそうだ。他法人から承継する場合には当然、ガバナンスは弱まる。
病院長など役職者を法人から派遣するだけでも大きく違うが、それだけではなかなか厳しい。
病院内の力関係
当然、病院長、副病院長、各科長、看護部長、医療技術部長、事務部長とそれぞれの力関係がある。
そこに、実は権限が大きいのは看護部。
どこの病院でも人数が多いのはほぼ看護部である。国会のように数の論理はやはり大きい。
様々なグループを見ていて、やはり上手く経営ができている、と言われるような病院は医師が経営に長けていたり、リーダーシップ、カリスマ性があるタイプは多いが、やはり事務が支えるところは経営の良し悪しに影響する。
無資格者 事務の役割
事務など病院で唯一の無資格者。
診療情報管理士や医療対話推進者、医療経営士など資格はあるが、はっきり言って力関係に寄与するパワーは持っていない。
その事務が如何に舵取りをするか、支えるかと言うのはポイントだろう。
営業会社では、その月の営業成績に対し当たり前の販売管理がなされ、毎月達成していない理由や今後のアプローチ、約束を詰問される。しかし、病院ではもちろん経営会議があるものの本社と病院で月次で有効な管理が行えていないグループも多いと聞く。
ある程度、各病院に経営が任されていることになるが、その方向性の修正に時間を要するとなかなか改善は難しい。
医師はMBAを取っていたり、経営について勉強している方もいるが、基本は診療にも専念すべきであり、医師をまとめ上げることが重要。経営はやはり数字が付き纏うことであるから、やはり事務が指標を指し示し、道筋を作ることが必要だと考える。
本部と現場のガバナンス
話を本部と施設の関係に戻せば、やはりその本部と施設の連携する機会がやはり多ければ多いほど、ガバナンスにも影響することだろう。財務の資金繰り、人事給与、経営に総務、、接点が有効に機能すれば、結びつきは強まる。
しかし、やはり現場には現場の事情があり、ときにそれが本部の意向にそぐわないことも出てくる。医師会や周囲の病院などのステークホルダー、人や患者が集まらないなどの地域ならではの事情などもある。
本部の意向というのは国の診療報酬の方向性に沿っていたり、経営的にプラスとなる選択をしているはずだが、現場の事情にはやはり本当に変えることが難しいこととそうでないことはやはりある。
院内で抵抗、反発もありひとつになっていないこと、ステークホルダーとの関係悪化や、現状からの運用の変化を恐れて動けないことなどもありこの見極めが難しい。
動きづらい要因
「恐れて動けない」
これは医療安全が最も?重要なテーマであり、患者さんの生命が最も大事である病院では普通の企業よりやはり、こう言ったことが起きがちである。すると、やはり現状維持を重視する考えも蔓延してくる。
そのなかでグループとしてどのようなガバナンスを効かせてゆくのか。
非常に難しく、永遠のテーマで本来、内容は本を一冊書けるほどのボリュームも必要であろう。その要素も、ひとつひとつの側面から掘り下げてゆきたい。