ニトリル手袋

診療材料においては、購入金額の上位で数量も多いものとしては循環器のカテ類や、整形のステムなどが挙げられる。これらは競合品がたくさんあるわけではなく償還品目であるため、記載は別の記事に譲るが、その他の品目でコスト削減の観点から大きな影響を及ぼすのが、ニトリル手袋だ。

コロナの時な需要と供給のアンバランスから非常に高くなり、現在の価格の数倍となったが、今はコロナ前ほどではないにせよ、価格が下がってきている。ベンチマークの数字は言わないが、1枚あたりの単価で比較することが必要だ。

この市場に参加する企業はゆうに10を超え、取扱額も大きいことから完全なレッドオーシャン市場だ。よって病院の採用は価格競争の側面がある。

しかし、現場の看護師からの評価はメーカーによって異なるのでサンプルが必要だ。ラテックスフリーかどうか、破れやすいとか、病棟のホルダーに合わない、とかいろいろ意見は出る。

価格勝負の企業とグローブの質に配慮した企業に分かれている印象すらある。簡単に言えば廉価版から高級品までラインナップはさまざまだ。

前者を採用するのであれば、本来は介護施設で使うようなプラスチック手袋、と大差がないのかもしれない。1枚あたりの単価はニトリル手袋よりプラスチック手袋の方が安価であるので種類の切替も考慮すべき点かと思われる。

後者のケースでは、質にも配慮したグローブに集約することにより、安価な価格を引き出せれば多くの病院で共通価格を決める際に、切替をしやすくなる。安い単価で決めても、病院が実際に採用するものでなくては意味がない。

また、ニトリル手袋については基本はマレーシアなどの海外で製造されている故に、為替や原価により価格の変動が大きい。本来は為替や原料のニトリル・ブタジエン・ラバー(NBR)の価格推移を定期的に確認することが必要だ。

https://www.imarcgroup.com/report/ja/fast-curing-nitrile-butadiene-rubber-market

もしくは、原材料は天然ゴムではないものの、市場の値動きは連動することが多いので参考になる。これらを元に価格が下がっている際には、交渉を病院側から行うことが重要だ。ずっと固定の価格で行っていると、せっかく1枚あたりの単価を交渉しても、もはや高止まりとなった金額を継続することになるので要注意だ。

材料は診療への影響ということが大きなハードルとなるが、ニトリル手袋については基本的に影響がないものとして取り扱われ、切替に支障がないものとされる。

いわゆる、「その他材料」として区分される材料では大きなウェイトをもつ材料であるからABC分析理論でやはり、早めに切り替えて、その後のフォローまでしっかり管理したい。細かい材料に骨を折って交渉や集約を行うより、余程経営への効果は大きいのである。

定期的に見直しの時期を定めておくことが良いかもしれない。診療材料交渉の基本のキ、となるニトリル手袋の管理を大切にしたい。

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