医薬品の廃棄対策

医療機関は医薬品卸から医薬品の購入を行うが、患者の転院、死亡などを契機に採用薬が変わるなどして使用期限切れとなり、廃棄に至るケースが多い。落下や温度管理ミスなど人為的なものもあるが、それは一部のケース。

昔は返品を開封していなければ、卸へ返すことができた。なおかつ、包装単位で100万円や数十万円するような薬剤が少なかった。

最近は保冷品以外でも、卸の返品を受け付けるハードルは高まり、数十万、数百万円という薬剤もごろごろと出てきた。

現在の対策は、きちんと管理をする草の根活動と、医薬品卸が販売する冷蔵庫のみ。

冷蔵庫に入れている保冷品は、温度管理ができているので、返品が可能となるスキームだ。

これもデメリットはあり、自社の販売した医薬品のみしか冷蔵庫に入れられず、冷蔵庫が複数の卸から販売されているため複数の卸の冷蔵庫を購入するスキームが必要となる。

また、全てを網羅できるわけではない。

残念ながら抜本的な解決策には至っていない。

医療機関同士で廃棄になりそうな医薬品を融通できれば、効率的な運用ができそうである。

これには、薬事法に抵触するということが関わってくる。グレーな記載の仕方だが、医療機関は販売権を持たないので、医療機関から売買をすることができない、とされるものだ。

これを裏付けるように、2011年の東日本大震災のときに限り、融通をしても薬事法に抵触しないとの事務連絡がある。裏返すと平時は抵触するとのことだ。

医療機関の中での廃棄金額統計は探してみると資料が少ない。全国的な統計はない。

他院に譲れないがために、どれだけの医療費が無駄になっているか。

これだけ高額薬剤が増えていて、制度を見直すときだ。

まず、国はどれだけの医薬品が無駄となっているか調査をすべきだ。

医療機関に販売権を与えるかはともかく、有効に譲り受けをできるシステムを構築するべきだ。OTCなどという難題のまえにやるべきことをやるべきではないか。結果、大きな医療費削減に寄与するかはわからないが、政治家が現場のこうした実情を把握してアピールしてもらわねばならない。

制度に守られて破棄を少なくするという名目で、医薬品卸にお金を払ってビジネスを産んでいるようではなんとも情けない。

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