文書料、室料差額の値上げ

これだけ物価高騰、最低賃金上昇を含めた給与費の上昇により病院の費用項目が軒並み増えて、全国の病院の7割近くが赤字という状況。

各病院の適切な病棟選択や費用削減などの努力は必要にせよ、ここまで来ると構造的な問題だと言わざるを得ない。一般企業はこぞって値上げをしているが、病院こそ値上げをしたい状態だ。一般企業だって、どこまでの経営努力をしているんだ??との嘆き節も出るほどだ。

当たり前だが、医療機関は診療報酬制度による請求が、美容や健診を除いて、ほとんどであり、値上げをすることができず、この赤字を垂れ流す状況となっている。

唯一、上げることのできるコストが文書料や室料差額の自費項目、というわけだ。

しかし、まだ肌感として1/3ほどの病院で値上げを行った、行う検討をしているという状況ではないだろうか。

文書料のコストは紙代だけでない。

個室の原価はその部屋や個室備品の減価償却ではない。

双方とも医療従事者や事務員の労働コストが入っているのだ。

値上げをするに十分な要因と考える。これらの領域はどうも上げてはならないという不文律があって、近隣の病院の価格も睨みながら価格設定がなされている。

ここ20〜30年間、金額が変わっていないという末恐ろしい病院も多い。

消費税の%がその間、何度も変わっているにもかかわらずだ。

しかし、昨今の経営困難では近隣の病院も値上げを検討している。

多くの業界で値上げがなされているなか、医療界だけは値上げをしてはならないという考えはどうなのだろうか。

大きな黒字を出す必要はないが、巨額の赤字では事業継続という一番大事なことが成り立たないのだ。

確かに、個室料の料金改定は議会を通して条例を変える必要があることから自治体病院ではハードルが高い、というか時間がかかる。昨今の状況では議会での反対というのはいざ、審議してみるとないというケースも耳にする。

今こそ、ずっと変わっていない文書料と室料差額を変更すべきときだろう。

やれることをやらずして病院が苦しい、では経営努力をせずに、便乗値上げをする一般企業と変わらなくなってしまう。

適正な分だけの値上げは、行うべきタイミングだ。

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