査定率の改善
さまざまな病院を観測していて、査定率の改善がなかなか進まず悩んでいるところが多い。いわゆる一般的な指標である、0.3%を上回る査定率のところはどこかに問題があると思われる。
査定には、もしかすると査定をされてしまうかもしれないと思いつつ請求をする「攻めの査定」と単なる運用の欠陥、ミスを指摘される「守りの査定」がある。
査定率が高い要因を聞くと、多くは「いや〇〇県は厳しくて…救急医療管理加算はたいてい査定されてしまって」と、攻めの査定の話ばかり返ってくるが、基本的な「〇〇加算の対策がまだ浸透していなくて」と言った守りの査定の話は出てこない。いやいや、攻めの話は聞いていないってっていう話である。どこの病院でも査定はある。守りの査定をいかに減らすかが大事であるのに、自己保身のことばが出てきてしまう。
実際、査定内容を「攻めの査定」と「守りの査定」に分けたとき、圧倒的に多いのは守りの査定であるはずだ。攻めも確かに査定はされているが、一部分であるはずだ。
本当は地味な守りをいかに固めるかがまず肝要だ。経験上、0.3%を上回る病院は何か大きな課題がありそうだ。細部でなく基本的な点をまず見直す点がある。
・医師オーダーが全て正義になっていないか
・病名の入力
・症状詳記の記載(内容までまずは問わない)
・レセプトチェックのやり方(ソフトの活用含む)
などだ。
収入も費用もabc分析。査定理由の分析を行い、上位5つくらいの内容を分析してきちんと改善すれば、かなり査定率は変わるはずだ。ただし、その5つはしっかりやり切ることが大事。
医局との意思疎通、医事課内での意識統一、ルーチン検査セットの見直しなど新しい取り組みの浸透などである。
どうもいろいろな医療機関の査定対策を見てきて、きちんと分析はできているようだが、実は改善の数字として現れていない施設が多い。
委員会に報告して終わり、になっていて実際のPDCAのAができていない施設も多い。
確かにレセプトは過去のものであって、これから算定する未来のものにどう対応するかはかなりの努力が必要である。
過去からいったん、学習を行い新しい問題に活かす、というのは勉強でも深く理解していないとなかなか難しい。
医事課長は仕組みの理解をきちんと行い、浸透をモニターする必要がある。
査定対策はひとりでできないし、なかなか難しい。ただ、0.3%を上回るところはせめて標準並にはしたい。長い戦いになるが、定期的にチェックもする必要があるだろう。