回復期系病棟の稼働率
病院経営のセオリーとして、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟の稼働率は介護保険の算定施設と同様に、医療資源投入量が急性期より多くないのでいわゆる「ホテルコスト」寄りの側面があるので、稼働率は高くあるべし、とされている。
診療報酬上でも、医療資源投入量は少ないにもかかわらず、比較的高い点数が設定されていると言える。
そのような回復期系病棟を持つケアミックス病院において、急性期病棟と回復期病棟の稼働率が回復期がかなり高いならばともかく、時々、急性期の方が回復期よりも高い稼働率となっていることを見て、その時はギョッとする。
おそらく、病院の先生方含めて回復期への意識が薄く、はっきり言って「急性期」への信奉を脱却できないのだなあと思う。
それはそうだ。
医師たちは総合医という考えはあっても大学の医局派遣で専門の診療科を持った先生方だ。
それぞれの専門や手術が得意でやりたいのであって、高齢者の患者が多い領域において、骨折や回リハ疾患の患者は当然いるのだが、誤嚥性肺炎や尿路感染症といった疾患が多いのは否めない。それらをやりたいかというと、そうではない。
ここに意識改革が必要だと声高に叫んでも、診療報酬で誘導してもうまく行かない点はある。医師の成り立ちの問題でもあり、難しい。大学からの医局派遣で頼ることと、地域のニーズがアンマッチしているのだ。
しかし、それで良いのかというと多くの病院は医師確保の問題が回リハはあったとしても、地域包括ケア病棟の稼働率は急性期より高くなっているのだ。
そもそも、地域包括ケア病棟の入院経路は、急性期病棟からのポストアキュートと、自宅や老健施設などからのサブアキュートだ。
先ほどの急性期病棟の方が稼働率が高い病院の地域包括ケア病棟はおそらく、ポストアキュートに頼っている。
回復期系病棟をどう活用するかは病院機能の根本的な問題だ。
DPCの病棟は入院期間で点数も変わるので入院期間IIを過ぎたらこのような病棟へ転棟させることが重要だ。転棟管理をしっかりするためにも、回復期系病棟の稼働率は重要なのだ。
あとは地域からの在宅需要の確保や疾患のニーズを考えれば、稼働率が高まるのは必然なのだが、入院の入り口の時点で、地域包括ケア病棟には回らない仕組みになっているのだろう。
〇〇先生の診療科で診てもらう、イコール急性期病棟という状況だ。
かつては地域包括ケア病棟の診療は、都落ち、のようだと言われたこともあった。全国の地域包括ケア病棟は都落ちなのだろうか?
人口は減り、高齢者は増えて好きな疾患だけ診ていて成立するのだろうか?
やはり考えを改める必要がある。