償還改定交渉

基本的なことだが、医薬品の薬価改定と同様に診療材料も材料価格改定がある。診療報酬改定の年の4月に改定がされるが、医薬品と診療材料で比較したとき、交渉へのエネルギー及び効率的、体系的に行われているかというと、診療材料の方が劣っている印象がある。

償還改定も材料価格は基本どんどん下落していく傾向にあるものの、値上げされる材料も多い。また、医薬品と異なり、SPDや代理店が積極的に償還改定変更を病院側に伝えてこないケースもあると聞く。材料への交渉文化が馴染んでいないというのはこの点もある。

それは代理店やSPDは何も言わなければ今までの納入価を引き継ぎ、償還改定で材料価格が下がった分は自分たちの利益になるので黙っていた方が得である。

グループでは各病院が同じ見積もりフォーマットを用意して各代理店と価格交渉し、それらの状況を比較し代理店別、材料別に差異を見て全体でも底上げ交渉をするという2段階方式で交渉を行った。そのときは、償還価格の変動率をそのまま納入価に掛けて下がった(上がった)金額を「率スライド」とし、目標金額は全国のベンチマークを見て高い位置においた。

「率スライド」は最低限の目標という位置付けだが、昨今では償還価格も上がるものもあれば値上げとなる材料もあり、容易でない。

メーカーやSPD、代理店と交渉をするのだが、施設の交渉に加えて本部では全体に影響の大きいメーカーや代理店と交渉することができるほか、交渉状況を横串にすることで同じ材料でも価格が異なるのはなぜか、と交渉をすることができる。

整形などのディーラーは手術室立ち合いや材料出しの費用まで材料価格に転嫁されていることがあるので注意が必要だ。このご時世、請求については仕方ないのだがその費用は別出しで適正価格で支払う必要があり、材料に乗せられてはベンチマークの比較ができなくなってしまう。頼んでもいないのに、そのような状況になっていることもある。

また、ディーラーの下に別のディーラーが、と下請け下請けになっているケースも多いので注意が必要だ。表向きは代表格のディーラーが下請けのディーラーのメーカー交渉を監督することになっていても、所詮は他社であり、自分たちの交渉にも忙しいなか、他社交渉にきちんと関与できるかと言えば疑問だ。

そもそも、SPDやディーラーとの交渉がどのように行うか仕様書や契約書に記載がされているかも重要だ。病院によっては年間の診療材料費削減の%を契約書に盛り込んでいる病院もある。お尻に火をついた状況でなければ、人は動かない。

また、以前にも述べたが、定数の見直しも短いスパンで行わないと、せっかく交渉をしてもたくさん無駄に使っていたら意味がない。

もう7月にもなるが、償還改定の年だけでなく、改定がない年でも引き続き交渉することも必要だ。医薬品と診療材料の材料費はあまりに大きい。

ぜひ共同購入のようなスキームで、井の中の蛙大海を知らずではなく大きなシェアを持つ団体として、各施設の金額を把握しながら、交渉に当たりたい。地域医療連携推進法人でも、求められていく機能であろう。

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