兵糧攻め作戦
法人で薬や材料を集約するときに使う本部の作戦として使うのが、名付けて「兵糧攻め」作戦だ。
トップダウンのガバナンスが効く組織や関係者で方針を定め着実に実行される組織であれば、こんな作戦の出番はないのだが、残念ながらなかなかそうも行かない。
正確に言えばトップダウンの手法や、ターゲット内部にSPYを作ったり、ターゲットの様々な窓口にアプローチするなど様々な作戦を組み合わせてこそだが、「兵糧攻め作戦」は有効な方法だと感じている。
まずはトップダウンで動く施設や、積極的に切替を行う施設の切替サポートを行い、全集中する。これらの組織は、上手く組織が機能していることを意味するので、最終的には変わる。変えるまでに至るプロセスや抵抗などの情報を入手しておく。これらの施設の数を多くすること、説得力のある病院の切替を図ることに意味がある。ネームバリューは大きい価値だ。逆に小さな病院や普段切替に前向きでない施設の切替事例も大切だ。
失礼な表現だが、「あの病院ですら切り替えた」というインパクトは大きい。
その段階のあと、切り替わらない施設へのアプローチである。最近は、どうせこれらの施設は、切り替わらないので最初の段階ではあえて泳がせておき、もし自発的に切り替わったらラッキー程度に考えている。
ターゲットを包囲したら作戦の発動である。
「あなたの病院だけぐらいですよ、切り替えていないのは」
「あの病院も切り替えて周りの病院も切り替えていますよ」
「●●病院だけ切り替えていないのは、目立つので事前に情報を入れます」
「全国でも●●によれば◯割の病院が切り替えているそうですよ」
と担当者に囁く。
しばらくして、もしくは同時に別の担当者すなわち薬剤師に例えばフォローしたら次は事務部長へ、など同様の情報を囁く。
少し表現がいやらしいが、ターゲットの病院を兵糧攻めにするだけでなく、メイン担当者自身を兵糧攻めして行く。
もちろん切替には、安心してコストの対価もある物品であるエビデンスも必要だが、重要なのは切り替えようとする心意気、意欲である。忙しい中、院内を骨を折って調整してもらわねばならないので、要はこれが一番面倒なのだ。意欲を持ってもらうのに、ポジティブに持ってもらう仕組みを作るか、必要に差し迫った状況を伝えるかの方法だと思う。
医療職の方々は本当に真摯に真面目に取り組む性格の方も多いと感じる。
お尻に火がつけば、真摯に取り組んでくれることが多い。籠城した城から炙りだされるように出てきたら、取り組む。
しかし本部は間違った方向の指図をしていないかの責任が付きまとう。決して無駄な取組で忙しい現場の業務を混乱してはならないと思う。
バランスをとりながら様々な作戦を組み合わせての「兵糧攻め作戦」。
秀吉さん、どうですか?