高額医療機器の交渉
部門間での機器購入に至るまでの駆け引きや、設備投資計画の策定方法、投資に値するか否かの判断基準については以前に述べた。
今日はCTなどの医療機器をメーカーとどう交渉するかについてだ。ちなみに、医療機器業界の鉄則だが、代理店同士の競争は初めに見積依頼があった代理店を優遇するというルールがあるので、代理店同士の競争は意味をなさない。メーカーと充分な交渉を行ったのちに、代理店を通す認識で間違いない。
メーカーとの交渉で必要なのは、他の投稿でも述べるが、できるだけ決裁権限を持ったメーカーの担当者と交渉を行うことなど、いくつかあるが、まずは本命の機械があっても、それに絞らずメーカー間でモダリティの競争をすることだ。
もうモダリティが決まっている、となるとなかなかよい交渉は望めない。図面や機器の大きさもあるが、最後までメーカーを絞らない、ということは極めて重要である。だから、現場でなく法人本部が交渉した方が良かったりする。
そして、メーカー間のデッドヒートの競争をしてもらうこと、これが通常の価格よりも引き出すための必要条件である。医療機器の価格は不思議なことに、定価はあってないようなもので納入価はそれぞれの病院で異なる。やはり入札用や自治体価格というのもあるようだ。
よってぜひその病院に、機器を入れてもらいたいという構図を作ることが必要になる。
また、部門の駆け引きのところでも述べたが、モダリティはオプションのありなしによって全然価格が異なる。主だったオプションの内容、価格がどれほど変わるのかを把握しておけば次回の交渉に役立つ。法人本部であれば過去に購入したモダリティ全てが交渉のベンチマークとなりえる。ただし、構成やオプション、機器の違いを理解していないと意味をなさない。単なるMRI1.5T 1億円では意味をなさないのだ。
そのため、かつて購入したモダリティの構成が横串で把握できるようすべての施設の構成が横並びとなった帳票で管理をしている。
これらを利用して交渉することは重要だ。専門的な知識をメーカーの営業は持っており、それに適うことはないが、法人オリジナルのデータの見地から交渉することは必要だ。その意味で勉強は必要になると思う。かつては権威の先生から交渉するという手もあっただろうが、経営感覚を持ってそのようにできる方は一握りで、データは重要だ。
また、お客様は神様だ、と逆手に取ったやや高圧的な交渉も過去には見てきたが、実践しても知識の勉強は必要であり、毎回使える作戦でもないだろうと思う。どうしても経験がものを言う要素はあり、モダリティを数度しか購入したことのない放射線技師や若い事務ではメーカー優位に交渉が進んでしまうことがあるだろう。
その抑止のためにも、データという武器を持ちたい。なかなか買う機会の少ないモダリティだからこそ、過去の購入実績が大事になる。