電気契約の交渉
そもそも今問題となっている物価高騰の前に、水光熱費の上昇が起きて、医療機関の経営を脅かし始めたのは記憶に新しい。2021〜2022年の高騰局面では前年の2倍の電気代ということもあり、水光熱費高騰の補助金も出現した。
いまや、電気契約の交渉は病院のコスト見直しを図るうえで、非常に大事な取り組みとなる。
2016年に電力自由化がなされ、大手電力会社のみでなく、新電力会社を含めたサバイバル時代に突入した。電力会社にとって、病院は夜間も利用し、24時間稼働で使用量が多く安定契約が見込める優良顧客だ。
よって、特別高圧や高圧のカテゴリとなる病院へ電力会社は特別価格を出している。良い交渉のためには、スケールメリットで束ねることが重要だ。新電力会社が台頭してきた際には、かなりの価格競争が起きた。新電力に負けじと大手電力会社も価格競争して自由化のメリットが出た。しかし、その後のウクライナ戦争による電気代の高騰と、電気卸市場での購入がスタートすると価格は硬直化し、いかに市場から有効に購入するかが重要となった。固定単価制とリスクもある市場連動型、それらのハイブリッド型から選択する必要があった。病院のプラン選択を支援するコンサル会社が出現して、削減額の一部を成功報酬で取って行くというスキームが横行した。
そして現在は、電力供給も安定のめどが立ち、価格も落ち着きつつあり再び病院のスケールメリットによる効果が価格に現れている状況だ。電力は世界の需給や市場動向に強く左右されるため、今後も交渉手法の変化が必要であろうが、スケールメリットを活かせる病院の束を持つことは武器となる。
話は横道に逸れるが、ついでに触れると病院の運営に必須な「酸素」は、工場で電気を大量に使って作られる。酸素の製造コストはほとんど電気代だと言うから、電気料金の上下動が酸素価格にダイレクトな影響をもたらす。電気料金は酸素の購入費用にも影響をもたらす。
そもそも電気料金は、デマンド値という過去最大需要電力が基準となる。高い値がずっと継続していないか確認する必要もある。デマンドバルブという最大値を抑えるシステムもある。そう言ったシステムの活用や、LED化、間引きや不要な電気の消灯などの節電ももちろん必要だ。
ガス会社も新電力会社の一環として、電気業界に参入しているが、自由化されているとはいえ電気のように九州の会社が関東でも、というようにならずガス会社は取り扱いのできる縄張りがまだ残っているようだ。全国的な自由化になっていないので、同じエリアで束を作れる法人グループはガス会社でもメリットが出るかもしれない。電気はスマートメーターさえ病院に付いていれば、完全な送電と売買が分離されているのは大きい。
しばらくは過去の水光熱費と比べると、まだまだ安定したとは言えず、原発の稼働状況などにも価格が影響を受ける。市場の動向を読むことが難しく、上記のような有効な契約締結をできるよう努力するほか、補助金の活用なども逃さず利用するようにしたい。都道府県によるが、水光熱費の高騰に対する補助が何度かに分けて行われている。そのような医療機関への施策を逃さないようにすることも肝要だ。
電気契約も保険契約同様に、業界事情を知らなくては有効な契約を結ぶのが難しいので、とっつきにくい。属人化しそうな案件だが、定期的にモニターができるようになっているか。
水光熱費の費用に占めるウェイトは、もう昔のウェイトではない。コスト削減を行うにあたり、優先的にマークすべき分野だ。放っておくと、前年の数倍、ということもありえる。

