適切なSPD契約
各病院の材料のSPD契約書面を見ていて、かなり病院が不利になっていたり、その管理で大丈夫か?ということが多い。多くは業者から提示された契約書及び仕様書をもとに改変して使うことをずっと行ってきたので、そのようになっているかと思われる。いくつかの留意点を挙げる。
1.倉庫の場所
倉庫が院内倉庫なのか院外倉庫であるのか、在庫管理をどのように行うのかが、明確に記載されていない契約書が実は多い。院外倉庫に関わらずのちに述べる棚卸がきちんとされていないと、あるまじき管理、無法地帯ということになる。
2.物流業務と購買業務の分離
物流業務と購買業務を分離しなければ、材料価格に物流の運営費用を乗せられることになり、適切な材料価格の交渉を阻害することになってしまう。
3.償還価格改定時のスライドや、削減目標の設定
償還価格の改定時の率スライドや削減目標も、契約書に盛り込むことができればSPDに責務を持って取り組んでもらうことができ、価格交渉時にも助かる要件となる。伝票だけを通す業者などがあるとその業者のいいなりとなったり、メーカーとの交渉を自分たちの利益のためにはまだしも、病院のために行おうという考えはなくなる。
4.棚卸の回数、定数の見直しの回数明示
棚卸や定数見直しはタイミングを定めてきちんと実施しなければ、うやむやになってしまう。特に定数については、現場の看護師の要望で、ついつい必要数以上の設定がされてしまう傾向にある。
5.預託品の期限切れ対応、契約終了時の材料取り扱い
預託品の期限切れや、契約終了時の材料取り扱いについては、期限切迫品のアナウンスをすることで期限切れ品目の減少に務めることや返品努力、転売努力などを行い病院買取となることを避ける記載が必要だ。
6.医事請求との突合
材料について、保険請求できるものとできないもののマーキングぐらいはどこのSPDも行うが医事データと突合して、きちんと材料請求が漏れなく行われているか検証している病院は少ない。また、月末使用の材料も翌月に回されてはP/Lへの跳ね方も変わってくるので、当月内に請求してもらうことも必要だ。
これが全てではないが、以上のような項目がしっかり記載されていないと、運用がうやむやとなり、せっかく材料価格の交渉をメーカーと行ったとしてもSPDにうまくやられてしまっていて、意味をなさないということも多い。契約書や仕様書の内容も適宜見直さなければ、材料費の診療材料のウェイトはあまりに重い。
いくつかのディーラーと契約しているパターンも、循環器、整形などは医師とのつながりもあるので、なおさらよく検証する必要がある。オペ室の立ち合い費用が頼んでもいないのに?材料価格に乗せられているというのは、良くあるパターンだ。窓口のディーラーはひとつにしても、上記のとおり管理がきちんとできないとメーカーにもSPDにとっても「おいしいお客さん」になってしまう。
いずれにしても、こまめな検証を行うことと、契約書でその検証を行うきっかけを作っておくことが必要だ。棚卸や定数見直し、セルフモニタリングの実施を盛り込んでおけば、仕事は増えるが、見直しのきっかけを作ることになる。