薬価制度の見直し

先般、2025年4月からの薬価が告示された。購入金額の大きいものでは、血液製剤、輸液・生食、麻酔薬、造影剤などの薬価上昇が目立つ。加えて、メーカーを守るような不採算品目の存在がある。

昔は薬価と言えば下がるのが当たり前で、診療報酬改定の本体が上がらなくとも、薬価差益で病院の収益が補填されるような意味合いがあった。今やどこ吹く風という状況だ。

都度下がるので「竿だけふみー2本で1,000円 20年前のお値段です」の対極にあった。もっとも、物干し竿の移動販売は20年経ってもずっと20年前のことを言っているが。

近年は薬価改定も毎年薬価改定となり、下がりにくくもなっている。それが、毎年薬価改定の反対論者の主な理由だろう。そもそも下げすぎて医療費を圧迫するようになり、財務省は慌てて昨年10月から先発品を希望する患者に負担を大きくする選定療養を導入し始めた。

また、供給面でも後発品のシェアを持つ会社が供給で転ぶと、他の会社がカバーしきれない「ドミノ倒し」が多発、乱発するような事態になっている。後発品を国は促進しているのに、供給から先発品に回帰せざるを得ない、そして病院の収支をも圧迫する異常な現象も起きている。後発品の会社がここまでの数で必要だったのだろうか。国の供給体制へのフォローも足りないように感じる。

最低薬価まで下がるとメーカーは経営がやっていけない、となり不採算品目の点数を上げてあげている、というのが今の状況だ。それも病院収支を圧迫する。

このあたりはメーカーの政治力と病院団体の政治力の違いも感じる。

以上から薬価は下がるところまで下がって、病院によっては前年より値上がりする計算になる施設すらある。

医薬品の値上がりは医療機関にとってかなりの相当の痛手だ。

なぜ、地に堕ちるまで無策だったか。もはや薬価制度の根幹を揺るがす、はたまた世界に誇る日本の保険制度の破綻とまで言うべき状況だ。

世間を賑わす高額療養費の改定もこのような背景があるので、お金がない国が慌てて取り組む背景は分かる。しかし、高額療養費も長期収載品の選定療養も、小手先の作戦であって、傷口に絆創膏を貼るようなものだ。高額療養費問題は倫理的にも問題だが、政策アプローチとしても問題だ。

薬価制度の見直し、保険制度の見直しというのが必要なのに、根幹の見直し議論は一切進んでいない。

診療報酬は医師、看護師の数やなど人の配置の配置に対する手当だ。この考え方を見直すくらいの議論が必要ではないか。完全なアウトカム評価にするなど。そもそも医師の偏在と医師給与が今のままでは持たない、という世界がすぐそこまで来ている。

諸外国に目を向ければ、日本の薬価は安すぎて海外メーカーにとって、まったく魅力的な市場ではないため新薬が日本には入って来なくなっているのも大きな問題だ。国際競争力はなくなり、医薬品のクオリティも悪くなっていく。

薬価の付け方そのものを見直すという議論は出てこない。

政治が本丸に切り込めない。

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