薬は個包装から
材料費の高騰
材料費の高騰も病院経営へ及ぼす影響が大きい。
診療報酬で請求できる薬価も、病院が仕入れる納入価も、薬価改定のたびに安くなるのは昔は当たり前であった。それも限界に達して、国はメーカーの原価維持を守るルールを作りだした。そして、新薬などへの高額薬剤の増加が病院の経営を圧迫する。
同時に、単価が高くなるものだから、使用期限切れや破損となった廃棄のリスクも高い。1本100万円の薬剤が廃棄となったら大変だ。
さらに国は3次の医療機関から2次へなど地域の医療機関で連携してそれぞれの役割で、患者を診療することを求める。大学病院で軽症を診ることがないように。この地域連携が深まることにより、転院でその患者の薬が使わなくなったということもありえる。
患者が好きな薬を買うのではなく、医療界は病院が薬などを用意するのだからこのようになる。大昔は製薬会社からの飲めや歌えやの接待があったらしい。
個包装から購入できる仕組み
そこで対策の一つが個包装、錠剤なら1シート、注射なら1本から購入できるこのシステム。大きい包装単位で買ってしまうと、中小の病院ではやはりロスが出る。極力、ロスが出ないようにとの対策。
ラインナップも揃っており中小病院を中心に導入してかれこれ10年ほどになる。
納入価格が薬価となる、通常で購入するより割高という点はあるが、その薬が処方される希少性を考慮して購入すれば、充分メリットがある。発注が2ライン化することへの懸念もあったが、あくまでサブとしての使い方なので実績を別採りしなければならないデメリットもそれほど影響は大きくない。
この廃棄リスクの問題は国にも真剣に考えてもらいたい問題だ。医療機関はさまざまな対策をしているが、薬価差益だけで廃棄リスクを補填できるレベルではなくなってきている。対策についてはいくつかあるうちのひとつだが、抜本的な解決方法は見いだせていない。