病院予算の作り方

来年度の予算を策定し、固めていく時期だ。

各病院は来年度の事業計画を立て予算の策定を行うが、長年見てきて、当たり前のことだが当たり前になっていないことがよくある。その代表的なチェックポイントについて記載する。

予算確認のチェックポイント

基本は近年の実績や今年度見込をもとに、その年の変化点を反映させて作るのだが、結構最後の経常収益から逆算して作成されていることが多い。そもそも、ナンセンスなのだが、、、。すると、診療単価が上がりすぎ、患者数が上がりすぎ、ということが起こる。やはり帳尻を合わせるためにはここをいじらざるを得ないからだろう。

単価が3,000円とか、4,000円とか平気で上がってあることがよくある。200-300床前後の病院でここまで1年で単価を上げるのは大変だ。それこそ、急性期充実体制加算を新規で取れるのならば可能性はあるが、それ以外は難しいだろう。

同様に外来患者数も40人も50人も年間で増えるのはおかしい。新しい診療科ができたのか、新しい先生が患者を丸ごと連れてくるのかなどの確認が必要になる。

他の項目も患者数増減に伴って変動しているかが重要だ。

材料費や給食材料費、寝具リネンなどだ。要は変動費がきちんと変動しているかである。患者数が増えているのに、給食材料費が減っているというときは精度が怪しい。まして昨今の状況では給食材料費が交渉により減額できた、ということはなかなか考えづらい。

給与費のチェックももちろん重要だ。職員数が変わらなければ、昇給もありだんだん高くなるのが当たり前だが、なぜか固定されている予算も幾度となく見てきた。給与費が上がれば、法定福利費も上がるし、月額賞与の概算額も上昇する。また、増減した額をそれぞれの職種の平均単価で割戻すと、実際の増減人数と整合性が合わないケースも多い。その割戻す額は正確でなくてもよい。医師が1,200万、看護師、コメディカルが550万前後のざっくりで、だいたい、これぐらいで割っても異変には気づく。

連動する項目のチェックも必要だ。

事務の給与費と医療事務などの委託費などは人数をセットで考えなければならない。各職種の人件費は常勤、非常勤に分けて職種ごとに見る。これだけ経営が厳しい中、他職種へのタスクシフトは必須で、非常勤の見直しはどの病院でも避けて通れない課題だ。

他にも財務的な視点では気をつけるべき点は多々あるだろうが、経営管理の視点での記載を行った。このようなブログの1ページでは教科書や書籍には到底及ばないクオリティだが、あまり教科書や書籍に書かれないことを記載した。

予実管理の重要性

本来は綿密に予算を立てて毎月予実でモニターする、そこには病院外の人員とともに検証するという行為が非常に重要であるが、なかなか医療界ではそれが実行されていないことも多い。

事務以外のパワーバランスが強いとこのようになるだろう。医療界の経営が厳しいというが、やるべきことを全てやっているのか?と言われたときに、他業界よりこのポイントは弱いのではないかと他業界を経験した身からは思う。例えば、やれる費用削減など完遂していなければ本部から相当叱咤される感覚があるが、そう言った機能や感覚もない病院が多いと聞く。

まだまだ、やれることは多い。

Follow me!