無名のメーカーとタッグを組む

傘下病院への標準品切替

医薬品や診療材料について、グループとしての「標準品」を定め、各施設からの切替を行い、集約を図ることが良くある。

先方のメーカーとしては、グループのスケールメリットや本部が効かせるガバナンスが魅力だし、病院側は調達コストが大きく下げられることがメリットだ。うまく行けば、お互いにWin-Winになるスキームだ。こういった活動が日常のなかでとても多い。

無名メーカーと有名メーカー

無名と言っては失礼だが、医薬品においてあまり名前の知られていないメーカーに旗振りを行った。そのメーカーの取り扱いゾーンは、供給が過去不安定になったこともあるし、価格も高止まりするゾーンなのでとても助かった。

通常は、全国に点在する病院に納入する条件があること、切替を行ってもらうためには薬剤師に認知をしてもらわないといけないことからある程度、名前の知れたメーカーのものに標準品はなりがちだ。

そもそも、できる限り、切替の手間を減らしたいのでグループで一番実績のあるメーカーが一番安価となれば言うことはない。これもABC分析の考えだ。これが、基本の鉄則。

しかし今回、無名メーカーというのは条件も重なった。海外では有名らしいが、日本国内でのシェアはとても少ない。そして、グループの供給量を予め確保してくれるとの約束を得た。これは、大きい。今もなお医薬品の供給不安定は続くがまだ2割が出荷制限や中止を行っている状況である。

それに加え、大手の会社が過去に供給で問題になり、現場の薬剤師もその会社に抵抗があること、価格も高止まりしていること。

「無名」なこと以外はほぼ切替の条件が整った。

そして、ある一剤から切替を始め、問題がなかったので他の薬剤も切り替えて行った。削減効果は、もはや累計で5千万円に上る。

両輪で歯車を回す

さらに、切り替える際には、本部からの働きかけに加えて、メーカーや卸からの情報提供やサポートも欠かせない。よく私は両輪で歯車を回していかないと、変わらないと言う。

今回は一剤を切り替えて実績が出ている途中になんと、卸から定年の方がそのメーカーへ再雇用で移っていった。これも渡りに船、とはこのことだ。

各施設への切替サポートも卸やメーカーからも力を借りられることになり、さらに条件は充実した。

このような条件が重なることは稀と思うが、無名なメーカーが、会社の中で「有名」になっていった。必ずしも無名なメーカーを担げばよいと言うわけでも決してないが、うまくいった事例のひとつだ。

切替に潜むドラマ

ここではあまり述べられないが、数人のある薬剤師の援護射撃があってスキームが成功したことも触れなければならない。

こういった切り替えのタスクには、毎回いろいろなドラマがある。

失敗や後悔、揉めたことも。

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