水光熱費の高騰
水光熱費も2022年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、エネルギー価格の高騰、円安、需要の増加に対する供給不足で、病院の水光熱費の医業収支に占める割合は一気に2倍以上となった。
電力契約のいきさつ
これも病院の経営の悪化に拍車を掛けた。国は1床数万円と言った補助金を配布するまでに至った。もともとは、電力自由化により電力会社間での価格競争が起きていた。特に自家発電をあまり行わない新電力会社と大手電力会社の競争は顕著で、過去にはスケールメリットで交渉をすることができていた。しかし、その料金は電力会社から一方的に撤廃され、最終保証供給という約款に記載の最高価格で契約をせざるをえない状況となった。その後、新電力では契約もできなくなり、国が用意した電力市場からの購入という市場の動向を変えるまでの変化があって今に至る。
ここ数年、エンドユーザーは購入できるものを言われた価格で購入するという状態が続いていたが、ようやく経営に有利な電力会社を選べるようになってきた。
医療機関の主な対応
病院は大きな費用の変化に対応すべくさまざまな方策を取ってきた。
節電、節水という点から、蛍光灯の間引きやこまめな消灯、デマンド装置の導入や節水コマの導入なども行った。
効率のよい利用をという点から、LED化も補助金を活用してだいぶ進んだ。
今ではコンサルなどを活用して、有利な会社を選択するというスキームもある。
子メーターの活用
一方で、私がこれから取り掛かりたいと思っているのは、スマートメーターの付け方の見直しだ。まだこれは取りかかり中だ。
今、水光熱費の使用量はスマートメーターで測られているが、水道をよく使う栄養部門には、病院の親メーターに対し子メーターが取り付けられており、使用量を測ることができたりする。
これを利用して、病院と例えば自治体の包括支援センターなどの建物が併設されている場合には、電気代などが面積按分になっていることがある。もちろん、実績次第なので藪蛇となる可能性もあるが、メーターを付けて実績按分にすることも考えている。
今、ひとつの施設で早速動いており、結果検証中だ。
病院の収支をABC分析で考えると、かなり細かい話のように思えるが、200床未満の病院や老健施設ではABC分析の考えに匹敵することもあるだろうし、固定費、ランニングの見直しとなるので、効果は大きいだろう。