有料個室の徴収率

病院には特別療養環境室(差額ベッド)を徴収する個室や2人部屋などがある。全体の病床の5割など、開設者により定められた割合の範囲で差額ベッドを徴収することができる。

今、物価高騰で病院経営が極めて厳しく、原価コストが上がっている。値上げをすることができる個室料を値上げしようという動きがよく見られる。自治体などは条例で定められているため条例改正の必要がある。

もちろん金額により、利用率に影響があるであろうし、多くは地域の病院の相場を意識して価格設定されている。価格の影響などがどうであったか、周知はされているかなどを把握する点で、差額ベッドの部屋がどれほど利用されたか把握する利用率の把握は重要だ。

一方、利用率に加えて把握が必要なのは徴収率だ。同じでないのかと一般の方は思われるかもしれないが、差額ベッド代は感染対策や治療上の要因、またはベッドの男女編成や緊急入院の部屋の都合など、病院都合の場合には徴収することができないからだ。

コロナ禍では、感染対策上の隔離で室料差額を取らないケースが増えた。もっとも今はインフルエンザも蔓延しており、感染対策は必要だがコロナからの流れできちんとした減免(室料差額を取らないこと)対応となっていないことがある。通常、有料個室を使う際には患者さんに同意書を取り付け、個室を使うものの病院都合で費用をいただかない場合には減免に感する事務手続きがされる。この手続きの運用がしっかりなされず徴収率の把握ができていない病院が意外に多い。

経営において室料差額収益はだいたい1〜1.5%ほどを占める。パーセンテージこそ小さいが保険に左右されない自費であるし、黒字か赤字かと言う点には重要なウェイトを占めることになる。意外にも保険診療には手が施されているのに、室料差額収益には手が施されていないケースもある。

値上げしろとは言わないが、同じく自費の文書料など何十年も変わらず消費税改定を挟んでいることすらある。

当たり前のことだがチェックポイントとなるのが有料個室の利用率と徴収率だ。

徴収の割合を上げる取り組みも正確な徴収率把握なしには始まらない。病院を横ぐしで見ていて、徴収率はおそらく、各病院でバラバラであろう。ベンチマークをして、水準を定めるところまでまだ到達していない。

本来はコロナ感染拡大後に見直し、インフルエンザも含め来たる感染症に備えて取り組むべき経営の課題だっただろう。

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