救急医療管理加算
救急医療管理加算は、緊急に入院を必要とする患者に救急医療を行った場合に7日間に限り算定できるものだが、1は1,050点、2は420点とあり、救急への評価を行う代表的な加算である。1を算定できるには算定できる状態の基準を満たす必要があり、2は準ずる状態、となっている。
近年の改定でも、1の点数が増点されたり、2の基準のひとつである「その他の重症な状態」を5割以上選択すると、2の点数が半減するなどの変更が図られてきた。
また、救急補正係数の判断基準にもなるので、救急医療管理加算の算定は極めて重要だ。
1の基準は、「吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態」や「意識障害又は昏睡」などがあるが、数値などの明確な基準はないものの、診療報酬明細書の摘要欄に数値の記載を行うことになっている。
またレセプトの査定も確かに救急医療管理加算1はされるが、査定を恐れて2ばかり請求する医療機関が多いのも事実だ。
救急医療管理加算2は救急補正係数の評価も1と比べて半減してしまうので、1に値すべきものは1で請求しなければ経営的に大きなダメージとなる。必要以上に2で請求を行う病院があり、1の算定割合と2の算定割合が驚くほど異なる病院もある。
確かに査定の程度も都道府県により違うので、都道府県の算定件数一覧も出したうえで、自院がその算定率より高いのか低いのか示すことがある。都道府県の算定率より低ければ、査定をされるからという言い訳は通用しなくなる。
経営が優れた病院は1の算定割合が高く、基準をきちんと管理するために自院で数値基準を設け、その条件に引っ掛けて適合すれば、1で請求するという病院もある。
脱水症であれば、輸液が1日500ml以上投与していればOK、という様子である。
何も行き過ぎた請求をしろ、という話でないが実施された診療に対して正当な評価はする必要がある。1で通らないから、はなから2で、という請求をする病院がまだまだ多い。
攻めの査定とミスの査定は、異なる。野球でも間一髪のアウトを取るためにエラーのリスクを冒して突っ込むプレイと、安全牌で守るプレイが違うのと一緒だと思う。
都道府県ごとの算定数もDPC退院患者調査から、予定外入院に占める割合で示せば分かりやすい。自院の立ち位置を把握する必要がある。
病院の文化や姿勢が数字に出てしまう代表的な例。院内全体でモニターする必要がある。