慌てた国の施策 滞る導入

マイナ保険証の導入と電子処方箋の導入、完全に国の対応は後手後手だ。2024年の診療報酬改定の目玉としてDX推進体制整備加算を新設、医療機関に点数を渡すことで導入を計ったが、マイナ保険証利用割合は全国の病院で瞬間風速で28%、電子処方箋については全国の病院でたったの4%と著しく低調だ。

国は導入促進のポスター(見本)を作っただけで、周知は医療機関や調剤薬局に丸投げだ。マイナ保険証の活用や電子処方箋には機械の導入が必要だが、国の補助金は一部のみ。外来患者数の多い病院ではマイナ保険証の機械も足りず台数は当然必要になる。

この経営が物価高などで空前絶後に厳しい中で、メリットがよく理解されない機械の導入にどうして投資ができようか。電子処方箋などは直前の投薬を把握できるメリットはあるが、病院への訴求力は4%の導入率が物語っている。両者ともおまけに、ベンダーの対応もスムーズでなく、円滑に導入することもできない。

今回の改定は12月までにマイナ保険証の利用割合を⚫️%以上、と黒丸でスタートさせて後出しにした挙句に、多くの医療機関が到達せず、電子処方箋の導入も同じ施設基準の要件に一緒くたに盛り込む、ケチりようであったので、改定の半年後には、目玉のDX推進体制整備加算が多くの病院でついえる、というお粗末な改定だった。

それに慌てた国は診療報酬改定でない年に期中改定で、マイナ保険証利用割合と電子処方箋の有無をお駄賃に、階段状の点数設定とした。公定価格であるにもかかわらず、改定の誘導でしか医療機関を操れない厚労省。

野党にはこの実情を把握し、声を挙げてもらいたい。

過去には診療報酬とはよくできた制度だと思ったものだが、最近は長期的な課題には手をつけられず短期的な目標に終始することが多い。

コロナ禍で医療機関のコロナ病床化も国や自治体関係が先に進んだ。このスピードや仕掛けへの反省も今の診療報酬に活かされているか。

地域医療構想の実現、病床再編、薬価制度

残された大きな課題にどう立ち向かうか。

現状は丸投げ体質が制度によく反映されている。

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