委託仕様の見直し

委託契約の中でも意外に価格もボディーブローのように効き、仕様が見直されていないのが清掃委託契約だ。

清掃ロボットの導入も叫ばれて久しいが、病棟はともかく、障害物や往来の激しい外来ではなかなか導入が難しく、コスト削減に大きく寄与したという例は少ないと聞く。

影響が大きいのは仕様の見直しで、やはり人工に関わるところだ。

そもそも、各部署の清掃回数は1週間に何回と事細かに設定されているのだが、そもそも配置数が365日なのか、日曜日を除く、なのか土日を除くなのかによって金額は大きく異なる。日曜日の体制を0としなくても、平日と異なる体制とするだけでだいぶ変わってくる。

いっぱしの急性期病院でも365日という例は少なく、少なくとも病棟は毎日必要かというのは疑問だ。何も代わりに職員で清掃する、という切り詰めた話ではない。

あとは構造にもよるが外来スペースのトイレがやはり広いか狭いかによって、工数は変わってくる。やはり狭い場合は、利用頻度が高くなり清掃回数は必要になる。自院の外来トイレが狭いのか広いのか客観的な視点が必要だ。

そして重要なのはごみ庫の大きさだ。

設計のときにも実は意識するだけでこのようなランニング費用が大きく変わる。ごみ庫が大きいと当然溜めておけるので、廃棄物処理業者の収集回数も減らせるほか、清掃委託の回数もごみ庫が広いことにより減らすことができる。ごみ庫が狭い場合に、清掃回数が少ないとごみの量が増えて置けなくなることがある。この大きさと連動するので当たり前だが、構造と清掃の運用は紐づいている。

海の近くだとガラス清掃の回数が増えたりする。また、患者、職員駐車場の清掃をどの程度どのようにやるかも病院によって異なるポイントだ。

同様に、設備保守契約も設備点検を法定点検の回数からどれだけ乖離しているかという視点が重要だ。前に述べたエレベーター保守契約は委託会社任せでなく病院で、独立系保守会社と契約すると数百万円の費用削減に繋がることがある。

人工単価の交渉や利益率の交渉も必要だが、ハードルは高い。まず仕様書に無駄がないか検証することは非常に重要な作業だ。

1病院だけの仕様を見ていると異常に気づくのは、難しい。他院と比べることで、どこが過剰なのか見えてくる。

上記のポイントを抑え、仕様を確認するだけでも年間の金額は変わってくる。

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