保険契約

病院運営の中で保険契約も必ず契約するものだ。医療訴訟に備えた病院賠償責任保険、医師賠償責任保険、各職種の賠償責任保険に、火災保険、訪問看護ステーションや保育所の保険など多種多様だ。最近は、サイバー攻撃に備えたサイバーセキュリティ保険や職員のハラスメントに備えた雇用慣行賠償責任保険とまである。

基本的に保険代理店と契約するが、代理店はその病院に需要のある保険を全て締結しようと営業をする。重要の掘り起こしを常に狙っている。また、これらを複数の病院で加入する場合、日本病院会や全日本病院協会の団体保険に加入することで割引が得られる。

保険会社間では保険内容の違いもあるが、保険商品の競争もある上に、代理店間でも競争がある大変な世界だ。A代理店の見積もりをB社にお願いした場合、価格が異なるということがある。過去には、まるでCTを買うかの如く代理店間で他社の保険金額や条件のヒアリングが行われて保険料の度重なるデッドヒートで下がった、という経験を何度かしている。

やりとりも大変であるので、ついつい代理店は固定してしまいがちだが、複数の代理店と付き合いがあると相談しやすくなることもある。

ただし、契約保険会社を変える際には、事故請求の起点について発生主義と現金主義があり異なると補償されなくなってしまうケースもあるので注意が必要だ。

またサイバーセキュリティの保険は、サイバーリスクを防ぐための体制、火災保険や自動車保険は事故の状況やログによって当然価格が変わってくるので、病院の事故防止のための教育を含めて請求を抑える努力も一方では必要だ。前年、事故が起きたために保険料が跳ね上がってしまった、ということはよくある。

ややこしいのは共同募集の制度だ。

筆頭の代理店を決めるのだが、手数料の割合を顧客が決めて、複数の代理店と契約をするということができる。2番目の代理店は何か業務を担っているかと言うと、顧客目線では特にないだけに、その手数料の割合を決める根拠は薄く、担当者としては難渋する。

保険の種類やリスクもあまりに増えてきて、全てをカバーするのも大変だが、付保漏れによってカバーするつもりだったリスクがカバーされないという事態は避けたい。担当者は保険への学習も必要になる。

保険はリスクカバーのための担保であり、商品は作られたものであるから、知識はどうしても必要になる。担当者が属人化しやすいので留意をしたい。加入にも様々なデータ収集が必要になるし、問い合わせにも答えることで保険に加入する施設の概要にも詳しくなる。みなし、でない訪問看護ステーションを保有する施設や保育所を持っている施設はどこだっけ?となったときに、意外に保険加入のデータから割り出すことができたりする。保険加入資料もデータのひとつとして共有を図りたい。

ある程度の業務負荷がかかるが適切な保険をきちんと交渉して加入を行い、管理をする必要がある。保険契約も骨が折れるが重大な業務だ。

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