交渉時の加重平均の方法
病院の購買について、価格交渉する際にマスタ(購入実績を網羅した総合リスト)を作成し、各代理店や卸からの見積情報をイ社、ロ社、ハ社とマスタの横に、列を追加して比較することが多い。
算術平均と加重平均の違い
その際、算術平均では正確な比較が出来ない。算術平均とはみかんを150円、りんごを130円、ぶどうを980円で購入する際の平均で3で割るので、これらの平均は420円となる。
それに対し、加重平均はみかんを3個、りんごを24個、ぶどうを1個購入した場合、計算式は
150✖️3➕130✖️24➕980✖️1で総和を求めて、4,550となる。それを購入した個数(3➕24➕1)の28で割るので162.5円となる。加重平均は値の重みを加味して計算した平均方法となるので、多くの購入された品目の「力」を反映することができる。
算術平均ではぶどうの単価が高く平均値が上がってしまうが、加重平均では多く購入しているりんごの力が大きく反映されている。
これにより先に述べたABC分析の考え方に基づいて、多く購入された品目を反映することができるので、代理店イ、ロ、ハの比較を行うときに、多く購入するものが安価となっているか把握することができる。ABC分析のCゾーンが安くてもAゾーンが高ければ意味をなさないからだ。
加重平均での比較方法
実際の比較を行う際には、イロハ社の全社が全品目の取扱ができるケースは少ない。よって、札入れが全品目でないため、ところどころが空欄となった歯抜けのマスタとなる。
これでは最終行で総和を出しても、単純な比較ができないことになる。
そこで私は、先方の提出見積と若干総合計は異なることになるが、見積が提出できなかった品目に対し、比較する他社の最安値を暫定値で入れることとして、総合計を無理矢理比較できるようにしている。ミスが起きないよう、暫定値を入れたセルは赤く塗り潰しておく。
それによって、総合計が比較できることに加えて、2回目、3回目と見積提出を繰り返した際も前回との比較がしやすくなる。赤いセルでフィルターを掛ければ、全体に対する各社の商品ラインナップの網羅率も分かる。
なお、暫定値を他社の最安値で入れる理由については、加重平均前の総合計がABC分析の観点からも重要であることから、最安値で入れればその品目で他社との差がつかないため、数字の悪さをしない。札を入れられないことに対する評価は、先の赤いセルのフィルターで計ることができる。
以上、至極当たり前のことだが、私もここまで具体的に教えてもらったこともないし、記載されたテキストのようなものも見たことがない。それぞれの担当者が我流で築いて行くとしても、ひとつのモデルとして整理が必要と思う。