ベンチマークソフトの使い方
最近はベンチマークソフトが販売されており、全国の自治体病院など多くの医療機関が加入しているものがある。また、対抗として業者が登録をしている別のベンチマークソフトもある。
おそらく医療機関で購入するのはこの2社だが、今の時代、ベンチマークは必要だが、それだけで交渉は充分とは言えない。
医薬品流通ガイドラインではベンチマークを用いた交渉を行わないよう(大きなお世話だが)記載されているし、この金額に下げろと言うだけでは確かにメーカーの旨味はなく、少し下げて溜飲を飲ませるというのが関の山だ。
また、医薬品のベンチマークについては、毎年薬価改定が行われ、近年は薬価が下がるだけでなく上がることも多いため、前の年度のベンチマークとの整合性が合わないこともある。
実際は、ベンチマークに記載されているということは入力ミスでない限り、おそらくその価格で購入されている。飛びぬけた値でない限りは信じて良いだろう。自院の品目が高いか安いか認識するためのツールになると考えている。
高いと分かった場合、その材料などが数量も多く経営に影響が大きいのであれば、メーカーや代理店と交渉するなどのアクションが必要だ。ベンチマークで高いからと希望価格に下げてくれればよいが、場合によっては同種同効の材料や薬との集約を図り、価格を落とす必要がある。
こういった交渉を始めるためのアクションツールとして考えるのが良いだろう。交渉方法は集約や切替の他、数量増加によるメーカー交渉、スケールメリットの活用、代理店の変更や、購入方法や支払いサイトの変更などいろいろある。交渉手法についても以前に述べたように、先方の担当者のエスカレーション、病院側に医師を出席させるなどいろいろある。
また、材料の場合には手術の立ち合い費用やSPDの運営費用が材料価格に転嫁されている事が多い。なぜ、高いのか分析することも重要だ。本来は材料価格を正確にベンチマークするためにも、上記は変動費でなく、固定費として別出しするべきだ。
また、一度決めた価格も時間が経過すると、他の医療機関が安価になり、安価だと思っていた材料が高価ということもある。そのものさし、にもベンチマークソフトはなる。
ベンチマークソフトだけで鬼に金棒かと言うと異なるが、交渉のデータを集約し、分析する出発点という役割は果たす。数量が大きくても、安価とされているものは優先順位を下げてよい。交渉の優先順位も定めやすくなるのだ。
ベンチマークソフトの使い方を理解して、有効に活用したい。

