ベッドコントローラーに加算を
多くの病院がDPC病院である中、病棟管理として入院期間II以内で患者をコントロールし、回復期の病棟へと転棟させることは、極めて重要だ。回復期や地域包括の病棟はできる限り、稼働率を高めるというのが経営の鉄則だ。
急性期の病院においても、回転を良くして在院日数が長くなる患者は転院させる受け皿となる病院が必須となる。
適切なタイミングで転棟し、次から次へと来る新入院を受け入れ、退院させるというPFMが求められている。
最近は、入退院支援部門を作成し、医師や看護師、MSW、事務がチームを作って患者管理をすることがメジャーになってきており、入退院支援加算、入院時支援加算でその取り組みを促進されている。
GEの「コマンドセンター」も指令室のように、ベッドの状況、今後の流れがひと目で分かるものとして導入病院がどんどん増えていると聞く。しかし、導入には数千万のコストが掛かり、ハードルは高い。
現在は、DPCにおいて在院日数が効率性係数で評価され、入退院の動きは先ほどの入退院支援加算で評価されるが、転棟タイミングには直接の評価となる加算はない。
なかなか病院現場でも必要性を感じながらも、各職種が、同じベッドコントロールの定義やフローを共有できているということがなく、これが経営の分かれ道と言っても過言でない。
ベッドコントローラーの主となる人間が正しい解釈で、権限を持って運営して上手く回っていれば良いのだが、看護師がベッドコントローラーとなると各病棟の忙しさや、配置人員、年齢層などいろいろな要素に振り回されて、経営の観点が取り残されてしまうこともある。
やはり各職種が正しい理解のもと進めていく必要があることから、コマンドセンターのような情報に加えて、その情報に基づいたカンファレンスが欠かせない。
情報整理システムの導入にも直接的な補助金や加算はなく、病院の自助努力に委ねられている。国としては効率性係数と、入退院支援加算で評価しているので、甘ったれるなということかもしれないが、多くの病院で病棟運営カンファレンスを切れ目なく実施するには、やはり新しい加算が必要だと思う。
そう言った院内の体制づくりを後押しするためにも加算の新設を要望する。いつも、診療報酬改定は、課題となる事項をクリアするために望ましい体制を描き、その体制を取れば評価するというニンジンぶら下げ戦略でやってきた。
まさしくこの転棟管理は、ニンジンをぶら下げるに値する項目ではないか。
多くの病院を見ていてPFMが課題となる病院があまりに多く、普段感じていることから述べた。
本来は優秀なベッドコントローラーを育成し、ノウハウを広げていくべきだと考えている。なかなか、ベッドコントローラーのノウハウというものが論文はあるのだろうが、教科書となったり講演が多くあるかというとそうではない。
チームで進めていかなければならないという裏返しでもあるのだろう。
PFMの実現は、地域での医療機関の役割分担を進める極めて重大な内容と考える。