コーディングの障壁
収益向上対策で挙げられがちなのが、「副傷病名」の入力だ。
当然のことながら副傷病名の「あり」「なし」によってDPCコードの分岐が起きる。よって、包括点数に大きく影響する。特に手術あり症例ではそうだ。コードが分岐するということは、入院期間IIの長さも変わるので、その患者さんの適切な入院期間の指標も変わってくるということだ。
つまりは、平均在院日数の短縮を評価する、効率性係数の出来栄えにも関わってくるわけだ。効率性係数のみならず、複雑性係数も診療内容の複雑性が副傷病の入力により評価される可能性があるし、カバー率係数も幅広い診療を行っていると評価される可能性も出てくる。強いていえば、各係数が年12症例以上が対象になるので、症例コードが増えることにより分散することは確かにありえるが、そのことを気にする人はあまりいない。故に、副傷病名の入力は、機能評価係数の数値の向上にも密接な関係がある。
機能評価係数は、DPCの包括点数に病院の評価として都度、乗算されるものであるから経営において非常に重要だ。
よく言われるが、アップコーディングは行ってはならないとされているので、アップコーディング反対論者が一定数いるが、何もアップコーディングをするのではなく、副傷病名の入力をきちんとして、正当な評価をしてもらうことが大切だと言っているわけである。
この障壁となるのが、医事課員と診療情報管理士の関係だ。中小病院では医事課長が診療情報管理士であったりと同一部署の中であるので個人の関係性によるが、病床数の大きい病院では医事課と診療情報管理室が別組織となって、お互いがいがみ合っているケースも少なくない。
お互いの立場の違いから、あそこは仕事をしない、きちんとしていないという批評から始まり、分断されてしまう。診療情報管理士の専門性も若干影響があるのかもしれない。
組織図上、医師事務作業補助者は医事課の下ということが比較的多いが、診療情報管理室も内包されたり、並列となるケースも多い。
部署が分かれると、どうもコミュニケーションは円滑でなくなったりする。本来、コーディングをマージする役割が必要だが、事務部長ができないどころか、医事課長もできなくなっている。
すると副傷病名の入力や係数への影響と言った、一つ一つのコーディングでなく全体としての総論が語られなくなってしまう。
本来は有効なコーディングが必要であるし、係数の対象である12症例を増やすために、ダウンコーディング承知でコーディングを行うことがあってもよい。
なかなか事務同士であっても、くだらない分け隔てが、経営を阻害することもある。部署の有機的な連携は経営に直結する。この意識を、マージする役割にある人が認識することが必要だ。

