コスト削減の成功報酬

近年、コスト削減のためのコンサルがたくさん存在し、病院に提案を行うことが多い。医療業界は自動車産業と同じ規模の産業とされ、公定価格だから企業にとっても魅力的な市場であり、企業としては社会的貢献とも捉えられてニーズがあり、良い市場と映るようだ。ハイエナのように群がる、と表現されることさえある。

コスト削減の提案はたいていこうだ。

病院の費用面のデータ提出を分析します。分析した結果、削減ポテンシャルがある分野を示します。それらの交渉ターゲットを指示します。交渉は(同席しますが)病院の担当者で行ってください。結果が出たら向こう◯年間に亘り、成功報酬として費用削減額の50%を貰います。

というスキームだ。

コンサルが交渉にどこまで関与するかは会社によって違いはあるものの、概ねこのスキームに集約されると長年の経験から判断する。

ひどい会社は削減ポテンシャルのある領域を示し、交渉手法を示したスライドを一枚渡して終わりだ。会社によっては、交渉に同席もしくは控室に控えていて、交渉の台本を作り、練習、実践、フィードバックという丁寧な会社はあったが。

確かに病院の担当者はたいてい費用削減のノウハウを持っていないし、交渉も行ったことがない担当者が多い。まして国や公的な病院では人事異動が短いスパンで行われて、ノウハウや知識が引き継がれず、メーカーや卸から教えを乞うということが多いと聞く。これでは、最初からマウントを取られてしまっているのは明らかだ。

そして病院職員は確かにいろいろな業務で忙しく、用度に専念することができる職員がどれだけいるか。たいていは兼務で片手間で、業者交渉を行うことになる。確かに猫の手も借りたい。とはこのことだ。すぐに交渉のできる担当者を採用することもできない。

そこにコンサルが入る余地が生まれるわけだが、個人的にはこの成功報酬というのは非常にもったいないと考える。

せっかく削減した金額が全てPLに跳ねるところを、半分近くが今度はPLで費用として計上されてしまうのだ。これでは、さすがにもったいない。人ひとり分雇うと考えれば良いでしょう、という考えもあるが、本当にそうか。その削減したテーマがそれほど大きなものなのか。

本当にひとり専属でそういった交渉をできる担当者を育成できれば、本来はさまざまな分野で結果を出すことができ、その担当者の人件費はゆうに元を取ることができる。専属、というのを徹底するため、本来名刺に、診療材料担当、とか用度交渉担当、とか限定したものを作っておくことで病院側も業者側もすっきりするのではないか。

今、このご時世、病院にそういった専属担当者を置くことも決して経営の無駄にはならないだろう。

こう言った用度の交渉などのマニュアルもなく、ノウハウが担当者間で引き継がれないのも全国的な問題だ。病院の事務における教育の課題は多くの病院で抱えているだろう。

しかし、成功報酬でアウトソーシングをしては、担当者が成功体験をすることができない。コンサルなもしペーパー一枚でなく交渉をしてくれるスキームであったなららなおさらだ。もし、担当者がコンサルの家庭教師の元、成果を出せたならば、削減額の半分がコンサルに長い間持っていかれるということは、担当者のモチベーションはいかに、、、。

最近は給食など委託業務も内製化の流れ。

交渉担当は本来は内製化すべき内容でないかと考える。

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