「隣の芝生は青く見える」現象
ここのところの専門職の確保は本当に難しいと聞く。医師だけでなく、看護師、看護補助者、薬剤師、、極端な話、医事課担当や事務まで、、、。
労働生産人口の減少というばかりか、その他にも要因があるような気がしてならない。
自分は隣の芝生が青く見える現象、と勝手に言っている。
まずそれに当てはまらなそうな医師。
臨床研修制度終了後に直接、美容医療分野に進む医師、いわゆる「直美:ちょくび」はどんどん増えてきて、専門研修制度を定員でコントロールすることができなくなる。ただですら大都市圏で働くことを希望する医師が多く、地方で少なくなる医師の偏在は深刻化しており、報酬と勤務時間の分が悪い勤務医への人気も低い。そこに、報酬と勤務時間、自分の好きな都市部で若くして働ける「直美」の存在だ。それはとても青く見えるだろう。若手医師の考えは確実に変わって来ているうえに、美容は医師を招聘するニーズと環境がある。厚労省も美容など自由診療への対応を考えないと、さらなる偏在を招きかねない。
薬剤師も言うまでもなく、「隣の芝生が青く見える」現象の渦中にある。
高給な条件を出すのは、調剤薬局のみならず、大手ドラッグストアも拍車をかける。仕事内容も薬局より、患者向けの説明などで容易と思われるのだろう。病院薬剤師は対人、対物に委員会業務にタスクシフトのあおりと仕事量は増えるばかりだ。なかなか病院薬剤師の魅力をアピールするのは、他と比べると難しい。ここも若い薬剤師が何を求めるかという意識の変化も反映されているだろう。
看護師、、これもまた「隣の芝生が青く見える」に当てはまることになったと感じる。
コロナで野戦病院を作るときに国や自治体は法外な給与を餌に、看護師を集めた。これで外の世界が見えるきっかけにもなったと思う。夜勤をやらなくてよい病院が青く見えるだけでなく、コロナ禍で転職が出来るんだという文化ができたように感じる。もともと人間関係も悩みがあって、看護師が足りない病院などたくさん市場にあるのも青く見える環境整備が整っている。
各職種で隣の芝生が青く見え、時代の移り変わりともに病院への帰属意識だとか愛社精神とかいう昭和の産物はどんどん置いて行かれるばかりだ。ましてどこも労働生産人口の現象で人が足りないので、便利な転職サイトや求職サイト、マッチングシステム、SNSの普及で仕事が簡単に見つかるテクノロジーの進歩もある。
昔の人伝いで仕事を探す、という信頼関係というフィルターもかからない。
すぐに辞めるかもしれないのに教育をどこまでするかという悩みも出てくるが、教育をしなければ定着しない。
非常に悩ましい問題に直面している医療界の問題だと思う。もっとこのあたりも声高に問題を顕在化させるべきだと思う。病院の数も減るだろうが、バランスが取れるようになるとはとても思えない。