「専従」「専任」「常時」「勤務時間の大部分」

施設基準の人員要件として、配置を「専従」「専任」「常時」「専ら」「勤務時間の大部分」とだいたい5パターンがあるが、この解釈を巡り、論戦になることが多い。

人によっては専従は10割だとか、いやうちのエリアは8割だ、専任は5割の業務をしなければならないなどと言う流布が実しやかに語り継がれる。厚生局や保健所の監査官に言われたこと、機能評価で言われたことなどが広がっていく。

これによって施設基準を届ける障壁になったり、業務をしない言い訳になったりする。

解釈をはっきりさせておくと、「専従」はその業務に従事するので兼務ができない。「専任」は兼務ができると書いてあるので、他の業務に従事ができ、施設基準上は5割という記載はないので3つの役割を兼務、専任で当たることもできる。

ここで確かなのは、「専従」と「専任」は重なることができない。前に述べたように、現在では施設基準の人員管理は届出不要で、各病院の管理が必要だ。また、適時調査が入ることになったときの事前提出資料でもどの者が、専従者で、どの者が専任者であるか書類を提出する。

ここでは専従と専任がどの時系列のタイミングにおいても、重なっていないことを示す必要がある。当たり前のことだが、診療報酬の返還となるパターンはこのパターンだ。

付け加えて言えば、育休や産休はまだ代わりの者を充てるという発想が働くが、メンタルなどによる一時的な休職は、秘匿されがちで注意が必要だ。

10割、5割と数字で絞っておらず、あくまで病院が申告した配置で施設基準を満たしているか確認されるということがどうも話の中で抜け漏れて、いや危ない!危険だ!やめろ!などと経営的には不毛な話になりがちである。監査官によって違う、という話も一昔前はかなりあったが、今では上記の定義で統一されているし、そうであるべきだ。

「専従」が何もやってはいけない、がんじがらめの配置要件のように語られることもよくある。

実際もっと厳しいのは「専ら」や「常時」、「勤務時間の大部分」だ。

「常時」は、言葉のとおり診療時間内の常時だから、担当者が片時も離れられないということになる。ICUや患者サポート体制充実加算、外来腫瘍化学療法加算などに見られる。

トイレに行く間や昼休憩の間も離れられないので、代わりの人の配置が必要だ。つまりは届出者がひとりということは現実的には難しく、複数名での配置が必要になる。

昔、ある病院の適時調査で、患者サポート体制充実加算の窓口が外来の1階にあり、2階の監査会場に呼び出して代わりの人が窓口にいなかったので、返還になるというひっかけ問題というか囮のようなことにハマってしまったことがある。それぐらい「常時」は厳しい。

また厳しいのが「勤務時間の大部分」だ。検体検査管理加算Ⅳの医師配置要件に見られる。

文字の通り、勤務時間の大部分なので外来の担当コマなどを持つのはかなり難しい。

これらの「専ら」「常時」「勤務時間の大部分」の厳しさと比較して、専従や専任を考えれば違いも分かりやすい。

これらの言葉を区別して理解する必要がある。

幸い各病院の施設基準を見て、適時調査を毎年10軒以上立ち会うことを15年くらい担当している。この解釈がなかなか病院の各職種まで伝わらないところにも、経営の難しさがある。

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